黒澤明監督の貴重な資料が新発見! 降板した「トラ・トラ・トラ!」撮影現場の音声 国立映画アーカイブ「世界映画史の謎に迫るもの」

 日本映画が生んだ世界的な巨匠、黒澤明監督が撮影を開始しながら降板させられた戦争映画の超大作「トラ・トラ・トラ!」の、黒澤監督による撮影現場の音声テープが発見されたことが17日、分かった。国立映画アーカイブ(以下NFAJ)が発表した。

 「トラ・トラ・トラ!」は「羅生門」や「七人の侍」などで国際的な名声を得た黒澤監督が取り組んだ初の外国映画。ハリウッドメジャーの20世紀フォックス社が製作し、1941年の真珠湾攻撃をめぐる日米両国の動きを題材にしている。

 日本のシーンを黒澤監督、米側をリチャード・フライシャー監督が演出することになり1968年12月2日に東映京都撮影所で日本側のシーンがクランクインしたが、フォックスとの折り合いがつかず、黒澤監督は同24日に解任された。舛田利雄監督と深作欣二監督が後任となり映画は1970年9月に公開されたが、この降板劇は世界映画史におけるミステリーとして知られている。

 今回発見された音声テープを録音したのは東宝撮影所の録音技師、渡会伸。2022年に関係者からNFAJが資料を受領した際に6ミリのオープンリールテープが含まれており、内容を調査した結果、黒澤組における「トラ・トラ・トラ!」撮影時の録音物であることが判明したもの。

 黒澤が12月2~21日に監督した部分の音声テープは映画録音用の6ミリテープ11本。主にワシントンDCの日本大使館のシーンと戦艦長門の艦内シーンからなり、スタッフによるシーン番号・テイク番号の読み上げ、俳優たちのセリフ、黒澤監督による演技指導の声が収められている。各シーンの撮影前後の状況は明らかではないが、冷静に撮影が進んでいた様が示されている。黒澤監督撮影時のフィルムは現存が確認されておらず、音声は貴重な記録だ。

 20世紀フォックス作品の権利を有するウォルト・ディズニー・ピクチャーズ(WDP)と協議し、音声テープはWDPが保存し、NFAJはデジタル化した音声データを受領、主催事業に音使用できることになった。

 NFAJは「今回の音声テープの発見は、黒澤監督の映画人生の謎を解明する足掛かりとなるばかりでなく、世界映画史の謎に迫るものであり、日本映画の国際性を改めて確認する機会となるでしょう」とコメント。「当館の映画フィルム・映画資料の保存活動の意義を示す機会としても位置付けられ」るとした。

 NFAJでは活動の安定的な継続と将来への発展に向け、収入の多角化と拡大に取り組む一環として、9月23日午後11時まで目標金額1億円のクラウドファンディングを実施している。

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