緒形拳さんと夏目雅子さんが父娘を演じた名作が4Kデジタル修復されベネチア国際映画祭に選出 「魚影の群れ」
緒形拳さん、夏目雅子さん、佐藤浩市らが出演した相米慎二監督の映画「魚影の群れ」(1983年)のデジタルリマスター版が、第83回ベネチア国際映画祭(9月2~12日)のクラシック部門に選出されたことが6日、分かった。
今年の同部門にはアンジェイ・ワイダ監督「灰とダイヤモンド」、ジョン・カサヴェテス監督「ミニー&モスコウィッツ」、ロベルト・ロッセリーニ監督「イタリア旅行」など19本が選ばれ、「魚影の群れ」は日本から唯一の選出となる。
同部門は2012年に設立され、過去1年間に復元されたクラシック作品から特に優れた作品が選出される。2023年には相米監督の「お引越し」(1993年)が最優秀復元賞を受賞している。松竹からは8本目の選出となる。
吉村昭さんの小説を映画化した「魚影の群れ」は、下北半島最北端の漁港を舞台に、厳しい北の海で小型船を操る、孤独で苛酷なマグロの一本釣り漁師(緒形さん)と、その娘(夏目さん)、元妻(十朱幸代)、娘の恋人でマグロ漁師を志願する青年(佐藤)らが織りなす壮絶なドラマ。
今回の4Kデジタル修復は、現存する35ミリオリジナルネガから4K解像度(4096×3072)で高精細スキャンしたデータを元に、フル4K環境での映像修復により、オリジナル版フィルムの輝きをよみがえらせることを目指した。今作の撮影監督である長沼六男氏が監修している。
音声もオリジナル音ネガから96kHz24bitでデジタイズ後、経年劣化によって生じたノイズを丁寧に処理。最終仕上げは今作の音響効果を担当した故小島良雄さんの娘で自身も音響効果として活躍する小島彩氏、相米慎二と日活時代を共に過ごした録音技師の小野寺修氏が監修した。
画・音声とも松竹映像センターで修復した。
相米監督は1980年に「翔んだカップル」でデビューし、翌1981年の第2作「セーラー服と機関銃」が大ヒット。長回しを多用した大胆なカメラワーク、俳優への厳しい演技指導など独特のスタイルが映画ファン、批評家からの絶大な支持を受けた。
「お引越し」はカンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で上映され、「あ、春」(1998年)はベルリン国際映画祭パノラマ部門に選ばれて国際批評家連盟賞を受賞した。2001年には「風花」がベルリンのフォーラム部門で上映されるなど海外での評価も高まっていたが、相米監督は同年9月9日に肺がんのため53歳の若さで死去。2012年にエジンバラ映画祭、ナント三大陸映画祭、シネマテーク・フランセーズで全作品の回顧上映が行われた。
