歌手のクミコが２０日、公式ブログを更新。虚血性心不全のため死去したことが確認された音楽プロデューサーの疋田拓（ひきだ・ひらく）さんを追悼した。

　疋田さんは、フジテレビ「夜のヒットスタジオ」を担当したことで知られ、近年ではＢＳ朝日「人生、歌がある」を手がけており、クミコも多数出演していた。

　「あの伝説の音楽番組『夜のヒットスタジオ』のプロデューサー、疋田拓さんが亡くなった。ちょうど、『人生、歌がある』の収録日の日のことで、その日、異様な静けさに包まれたスタジオに疋田さんの姿はなかった。体調が悪いらしいとしか伝えられなかったが、これまで一回も不在のなかった疋田さんの見えない姿がどこかにあるような、不思議な時間だった。」と疋田さんが天国に旅立った当日に番組収録があったことをつづったクミコ。

　「その翌々日、トークでの収録日、終了後にその死を知らされた。疋田さんに、死は似合わない。この伝説のプロデューサーは、まるで青年のように階上のモニター室を、トントントンと上り、背筋も表情も服装もやはり青年のようで、もしかして一生お年を召されないのかと思うほどだった。」と記した。

　さらに「『人生、歌がある』。この番組では、長い間、本当にお世話になった。カット割りや装置など、そのどれにも疋田さんの思い入れや美学があって、その時にはわからないことを、後から見直すと、その意図が明確にわかることも多かった。そのたび、自分の不明を恥じた。芸能界の大道を歩いてきた疋田さんに、お声をかけられ、いろいろな歌に挑戦させていただいたことを、今振り返っている。ただただ感謝でいっぱいになる。」とこれまでのお礼を言葉にした。

　「今月２９日の東京国際フォーラムでの、初めての番組生公演を前に、そこにおられなくなった疋田さんの無念を思う。さぞかし心配をされているだろう、きっとその場に見えない姿で立たれているだろう、不器用な私のような歌い手にイライラとしながら、聞こえない声で指示を出しているだろう、いやいや、何よりご自身がいつも通り一番楽しんで番組作りをされているだろう。そんなさまざまなことが思い浮かんでくる。」と思いを巡らせた。

　その上で、「お一人の中に、日本の音楽番組の歴史を抱えたまま疋田さんは去ってしまわれた。でもそれは、眩しいほどの幸せにも思えてしまう。音楽と時代の両方に愛された稀有な人。そんな仕事をされた人に、そしてその方とご一緒に仕事をさせていただいたことに、心から感謝を申し上げます。疋田さん、本当にありがとうございました。（またいつか、と申し上げそうになってしまうことに驚いています）」と感謝を述べた。

　疋田さんは、「スタードッキリ㊙報告」や１９８７年６月に生中継された郷ひろみと二谷友里恵さんの結婚披露宴も手がけ、話題となった。

　告別式はこの日、都内斎場で営まれた。