北村匠海「あんぱん」での1年に幸福感「改めてぜいたくな時間だった」撮影ではキャストに似顔絵プレゼントの日々
俳優・北村匠海が、NHK連続テレビ小説「あんぱん」を経て、俳優として生きる日々の幸福感を実感している。作品のフィナーレが近づく中でこのほど、デイリースポーツなどの取材に応じ、初の朝ドラで得た収穫や、夫婦役として共演した主演・今田美桜についての思いを語った。
収録後に行われた取材会とあって、北村はニット帽に老けメークの役衣装で登場。「アンパンマン」の生みの親であるやなせたかしさんをモデルにした柳井嵩として1年を過ごし、表情や語り口には役そのものの穏やかさが漂っていたが、確かな充実感もにじんだ。約1時間。熱を込めて語ったその姿に、報道陣から自然と拍手が起こった。
先月22日にクランクアップを迎えた中、「皆さんもお疲れさまでした。すてきな記事をたくさんありがとうございました」と報道陣をねぎらった。自身については「本当にこの1年という期間は長くてですね」といい「嵩として言うと、一年間(時には芝居で)うじうじしなきゃいけなくてですね。これは非常に視聴者をイラつかせた瞬間もあると思いますが、僕もイライラした瞬間がある」と苦笑で打ち明けた。
それでも確かな変化を感じた。「1日通して芝居する時間の方が長く、それが1年続くと嵩としてしゃべるのが自分にとってすごくニュートラルになる。それくらい役と一体となって日々を過ごして、お芝居が当たり前という感覚がすごくこの期間で改めてぜいたくな時間だった」。俳優業の魅力を再確認した。
一方でそんな嵩から良くも悪くも影響を受けたようで「めっちゃ落ち込むようになりました」とも告白。「長らく落ち込むということをしてこなかった気もしていたけど、めっちゃ落ち込むんですなんだか。それほど自分に影響を与えていて」と苦笑いで吐露した。
北村自身は小学生の頃に絵画教室に通うなど、やなせさん同様、絵をはじめとした創作活動が常に隣り合わせだった。
「心底あの時に絵が好きでいて良かったなと思った瞬間がたくさんあった。この撮影期間中は全員はできなかったけど、オールアップした方の似顔絵をずっと描いたりとか、常に何か絵を描いていたような気がします」と裏話も告白。「改めて絵が大好きになったし、一度も苦じゃなかった。楽しかったです」と充実の表情を浮かべた。
物語も最終章に突入している。幼なじみから妻となり、嵩を支えるのぶ役の今田との共演を振り返り「後半は支え合うという言葉が一番正しかったです」と即答した。
「作品の主演はのぶであって、柳井嵩はのぶを支える立場にある。でも1年通して、今田さん自身も何度も立ち止まり、後ろを振り返るみたいなのも一番横で見てきたし、そのたびに一番近くで一緒に話し合いながら道筋を確かめ合ってきた。お芝居から離れた時もずっと脚本やシーンのことを語り合っていました」。二人三脚となって物語を作り上げてきた。
その中で今田から一番感じたものは「責任感の強さ」だったという。「常に気丈で現場を明るく照らしている、これはずっと一年間変わんなくて」と、のぶ同様の性格で撮影を盛り上げていたと明かしながら、時に悩む姿も目にし、“夫”として寄り添ってきた。
「その中で何があっても前を向いてるのはのぶだったなぁという気がしてます。その強さを本当に日々感じてましたし、スタッフキャスト一同魅了されて、支えられていたのではないかと思う」。確かな実感とともに今田への感謝を口にした。
