【ヤマヒロのぴかッと金曜日】未来のあるべき姿とは!?冷静に見極める「日本人ファースト」

 もう8月も終わろうというのに、いまだ最高気温が35度に迫る日が続く。長い夏との闘いはまだしばらく続きそうな気配だ。「こんなに暑い時は家にいるに限る」と決め込んでいたので、今年の夏休みはどこにも行かずに終わった。それでも長男の嫁が東京から2人の孫を連れて遊びに来てくれたおかげで、今年は楽しいお盆休みを過ごすことができた。

 帰った後、家のあちこちに貼られたシールを見つけるたびにほほ笑ましい気持ちになる。たまに顔を合わせる孫の成長が何よりの楽しみでもあるが、この子達が大人になる頃にはこの国がどうなっているのか、ふと不安がよぎることもある。

 戦後80年、今年も各メディアはさまざまな企画で戦争の記憶を語り続けた。こうした報道の積み重ねが、実際に戦争を経験していない世代の中で共有され平和への意識を持ち続けることにつながるのは疑いのないところである。

 一方で、何十年もの間、族議員と官僚が手を結び、国民や野党が非難の声をあげても一向に意に介さず小手先の対応で済ませてきた「自民党型政治」は、惨敗した参議院選挙のずっと前から統治システムそのものが崩壊していたと言っていいが、既存のメディアもまた、長い間その惰性の中で役割を十分果たしてきたとは言い難い。

 今回、物価高による貧困、消費減税と給付金、コメ不足と争点が移ろう中で自分たちの生活が脅かされるという不安と絶望の中、政権与党への怒りの受け皿の一つとなったのがSNSを駆使した参政党だった。

 国際協力機構(JICA)が国内の四つの自治体を「ホームタウン」に認定する交流事業をめぐって「移民を定住させる」などと誤解に基づいた情報がSNS上に広がり、日本政府がナイジェリア政府に対し訂正の申し入れを行ったが、わずか数日間に各市役所にそれぞれ数千件もの苦情が寄せられたという。「アフリカ人に市を明け渡すことを真剣に検討している」という間違った情報を鵜呑(うの)みにしたがゆえの一部の人の行動だったが、それを短絡的とあざ笑う前に、今の社会状況を冷静に見極める必要がある。

 参院選後半では外国人に関する政策も争点となり、実に乱暴な言動が飛び交った。まず、そこに危うさを感じる。勢いそのままに、立場の異なる人の声に耳を傾けず被害者意識だけを持ちながら相手を排除する姿勢は対立と争いしか生まない。欧米で跋扈(ばっこ)する政治体制の「権威主義化」につながる流れにのみ込まれるのはゴメンだ。だがそれを危険思想だからと決めつけて排除するのはもっと危険だ。

 参院選で「民意」を得た参政党も責任政党としての役割を果たすのはまだまだこれからだと思うが、だからと言って、スローガンに掲げた「日本人ファースト」を「排他主義」と、一言で片付けるのは間違っている。なぜ、それが選挙で一定の支持を得たのか。そうした考えを生み出した戦後日本社会のどこに問題があったのか。「100年後のこの国」のことを見すえて、今こそ政治家もメディアも有権者も立ち止まって考える時ではないだろうか。(元関西テレビアナウンサー)

 ◇山本 浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。

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