どうなるフジHD株主総会25日 新取締役選任巡り真っ向対立 大株主VS独自案で大荒れ可能性は 識者に聞く

 1月に芸能界を引退した元タレント・中居正広氏(52)と女性アナウンサーとのトラブルに端を発した諸問題で揺れているフジ・メディア・ホールディングス(HD)の株主総会が、25日に都内で開催される。総会では新たな取締役が選任されるが、会社提案と株主提案が真っ向から対立する形になっており、“大荒れ”は必至。取締役の選任はどう落ち着くのか。フジテレビの“再生への道”はスタートできるのか。コーポレートガバナンスに詳しい駒澤大学経営学部の中川淳平教授に聞いた。

 最も注目されるのが、取締役の選任。フジ側は大株主であるダルトン・インベストメンツ側が提案した12人を完全拒否し、独自の11人を提案している。フジ側は提案を通すだけの株主を確保していると公表しているが、会社規定では「取締役の数は18人以下」となっているため、株主提案も一部、通る余地があるようにも見える。

 これに中川教授は「フジテレビの経営体質を批判したい株主も少なくないので、ダルトンが提案する取締役候補も通る可能性がある」と推察。具体的な手順として「株主総会では議決権付きの株式で1株1票を基準としているので、候補者に○を最大18までつける投票になると思われる。監査等委員の4人はほぼ確定しており、残り19人のうち最大14人まで、議決権付き株式保有者の投票で、過半数が得られた方が選任されることになる」と解説した。

 さらに「今回、アメリカの議決権行使助言会社がフジ側の候補者を推奨していることから、中立派の株主もフジ側に入れると予想されており、表面的にはダルトンが要求したガバナンス体制を目指すことになったことで、それほど荒れないだろうという見立てが多い」とも解説。「ダルトンとしても、早くスポンサーに戻ってもらわないと彼らのシナリオ(株価上昇と不動産部門の分離)通りに進まないので、まずは“日枝体制”からどれほど脱却できているか、お手並み拝見という感じで推移を見守るのでは」と展開を予想した。

 株主側の提案が一切通らなかった場合はどうなるか。中川教授は「ダルトンに加え、旧村上ファンドなどの機関投資家が結託して臨時株主総会の招集を請求し、態度を決めかねていた一般の株主を味方につける機会は残されている」とし、反撃の可能性に言及した。

 “日枝体制”からの脱却については、定款の一部変更で「相談役」に関する規定が削除された。これに中川教授は「日枝氏の影響力が残っているように映れば、ほとんどのスポンサーが戻ることはないと考えている」と指摘した上で、「取締役候補の指名委員会を設置し、不祥事体質から脱却することを一般社会にアピールしているが、ダルトンなどの機関投資家の影響力を極力少なくしてフジテレビ側が選任した社外取締役メンバーであれば独立性はそれほど高くなく、フジテレビ出身の経営者が中心の体制のままスポンサーを獲得できると考えているのだろう」と分析した。

 今回の株主総会は、一連の問題の一区切りとも捉えられている。フジテレビは再生の道を歩き始め、スポンサーや視聴者の信頼を得ることができるのか。中川教授は「フジテレビへの広告を差し止めても商品の売上に影響しなかったと考える企業も少なくないので、(CMを)再開する企業は限られる可能性がある」との見方を示した。

 一方で「フジ側が新取締役に選任したファミリーマート元社長の澤田氏は伊藤忠商事出身で、同社のメディア事業との連携が進み、古い体質が解消されると判断されれば元の状態に戻せる見込みはある」とも指摘。「それでも難しければ、ダルトン側が選任するメディアの利権構造にメスを入れた取締役に一定の役割を与えていく必要があるのでは」と指摘した。

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