封印された都内のボロアパートでの「伝説の朝ごはん」動画が反響 映画監督・原一男氏 クラウドファンディング達成で続編映画を制作
動画メディア「通勤タイムス」で絶賛配信中の、各界の最前線を走るプロフェッショナルたちの、大切な朝のエナジーチャージに迫る動画「伝説の朝ごはん」。過去にはジャーナリスト・田原総一朗氏や世界的パティシエ・徳永純司氏らが登場。自ら食事を準備し淡々と食べ進める姿が反響を呼び、SNSで累計3000万回以上再生されている。
2月22日公開の動画には、伝説の映画「ゆきゆきて、神軍」を手がけ、“ドキュメンタリーの鬼才”の異名を取る映画監督の原一男氏が登場。シンプルでつつましい和食の朝ご飯を紹介した。ドキュメンタリー監督が取材対象ということもあり、ネット上では、「おお!原監督からの撮影指示ありましたか?ドキュメント映画の雰囲気が監督から溢れ出してきてるぞ」「この動画のカメラさん一生の宝物だよ」「私もそう思いました、原一男を撮るという名誉」などと映画ファンからのコメントが寄せられた。
40年以上公にしてこなかった住居は、都内の“ボロアパート”。雑然とした台所で、おもむろに納豆のパックを開ける原氏。じっくりかき混ぜ、卵と醤油を加えてまたひと混ぜ。続いて味噌汁の準備にとりかかる。軽く煮干しでダシを取った後、昆布を入れて煮立たせ、味噌と具のアサリを入れる。
ご飯をよそって納豆&卵をぶっかけ、ビタミン補給に熊本産の無農薬いよかんを切って完成。単純かつ無骨な“男の料理”が仕上がった。味噌汁を一口すすり「うまい」と笑顔。一心不乱に食べ続け、ものの数分で平らげた。
手早く片付けると、食後の服薬の時間だ。今年80歳になる大ベテラン。はた目には元気なようでも、身体のあちこちに不調が現れるのは無理のないことだ。続いて、撮影で訪れた熊本・水俣の病院と電話でやりとり。撮影後、近所の温泉に入っての帰路で転倒して顔面を強打してしまったという。「若い時だったら、転ぶ寸前に手が動くと思うんだけど、年取っちゃったから…」と苦笑いで明かした。
原氏は水俣病をテーマに、映画「水俣曼荼羅」(2021年)を撮影。続編に挑戦中で、スマートフォンに送られてきた水俣病患者の映像を見ながら「前の作品の時に、この人たちをそんなにしつこく追ってなかったんですよね」とし、前作について「撮影に15年、編集に5年。20年かかったんですよ…」と回想した。
「若いころは、映画って、体力勝負だと思ってるんですよ。特にドキュメンタリーは、体を張って撮っていくもんだと。60歳までだろう、映画が作れるのは。60歳になったら引退しようと、若いころは言ってたんです。ところが、60になっても70になっても、映画を作り続けていますんでね」と笑った原氏。その変わらぬ姿勢を支えているのが、自作のシンプル朝食なのかもしれない。
柔和に笑う原氏の指には、昨年10月にイタリアのラヴェンナ・ナイトメア映画祭で、アジア人として初めて贈られたゴールデンリングが光る。刻まれた文字は「THE DARK SIDE OF MOVIES」。「人間のダークサイドを描いてきた原さんに賞を贈りますと、そういう意味の言葉なんですね。ならば、もっとそれを鮮明にするような作品を作ってやろうじゃないかって、励まされて帰ってきたんです」と、ますます意気盛んに語った。
続編応援のクラウドファンディングの締め切りが1週間を切った動画配信時点では、目標達成額が50%程度だったが、慎ましやかな朝ごはんと真摯に映画に向き合う生活感が反響を呼び、伝説の朝ごはんのYouTube、インスタグラム、TikTokで合計およそ50万回再生、クラウドファンディングでは目標の1000万円以上を集めた。
2月にはその他も、メディアアーティスト・落合陽一氏の、筑波大学での独特の朝ごはんもインスタで250万回以上、ヴィダル・サスーンでヘアデザイナーをした伝説の美容師・茂木政行や、歌手・中森明菜の衣装をデザインした紫藤尚世氏も100万以上再生されている。動画は「通勤タイムス」の公式YouTube・TikTok・インスタグラムで配信されており、3月以降、U-NEXTでも配信予定。11日は猫の専門のお医者さんの服部幸氏が自宅で猫と食べる朝ごはん動画が公開される。
