八代目尾上菊五郎襲名披露興行に玉三郎が出演、三人花子で「京鹿子娘道成寺」 團十郎との「勧進帳」も調整中
歌舞伎俳優の尾上菊之助(47)が、東京・歌舞伎座で5、6月に開催する「尾上菊之助改め八代目尾上菊五郎 尾上丑之助改め六代目尾上菊之助襲名披露」興行の取材会を14日、都内で行った。
「京鹿子娘道成寺」には坂東玉三郎が出演することが決定し、八代目菊五郎、六代目菊之助と「三人花子」で勤めることが発表された。
松竹によれば、松竹から玉三郎に「ぜひ出ていただきたい」と以前から話しており、玉三郎も「ぜひ襲名披露の演目にお付き合いさせていただけないか」と異存はなく、話し合う中で三人花子が実現することになった。
菊之助は「私もいま道成寺を踊らせていただいていると、二人道成寺で玉三郎さんに教えていただいたことがとても糧になっておりまして、横に玉三郎のお兄さんがいるつもりで踊ることもあるんです」と打ち明け、「丑之助の人生にとって、とても大切な時間になるのではないか。一緒に踊るということが何ものにも代えられない時間なんですよね。大先輩と組ませていただくことが歌舞伎役者にとってとても大事なことなので。玉三郎のお兄さんも、丑之助にいろいろ話すねってことをおっしゃっていただいているので、非常に楽しみな時間だと思います」と期待した。
また、5月は「團菊祭」であることから、菊之助は市川團十郎の弁慶と自身の富樫で「勧進帳」を演じることを熱望。既に團十郎と話をしていることを明かした。
両家には、初代菊五郎が二代目團十郎に見いだされて江戸に出てきたり、明治期には九代目團十郎と五代目菊五郎が「團菊」と並び称されたりしてきた歴史的経緯があり、同い年である現在の團十郎と菊之助も、子供の頃から一緒に稽古に通い、切磋琢磨(せっさたくま)してきた。
菊之助は「現代でも父(七代目菊五郎)と十二代目(團十郎)のおじさまと父が團菊祭を守ってきてくださいましたけど、八代目を襲名したおりにはぜひ團十郎さんと舞台に立たせていただき、菊五郎のスタートを切りたいという思いで、團十郎さんにもこれはお願いしてることなんですけど。『勧進帳をやりたい』とお願いしている最中でございます」と話した。
松竹も「菊之助さんからも熱い思いをいただきましたので、会社としても成田屋さんを含めて話し合っていきたい。ここから調整に入らせていただきたい」と、実現に向けて動く方針を示した。
菊之助は襲名にあたり「努力、芸に向かう姿勢を含めて広く開かれた歌舞伎界が目指していくところだと思います。歴代の菊五郎が築き上げてきた立ち役と女形の両方を研さんするということは引き継いでいきたいし、大事にしていきたい。実力のある方を広くご一緒させていただくというところが目指すところでございます」と、改めて意気込みを述べていた。
3月31日には東京・神田明神で、成功祈願とお練りを行う。
