ブルーリボン賞監督賞の入江悠監督「浮かれちゃいけない」 女性の壮絶人生を描いた「あんのこと」で受賞
東京映画記者会(デイリースポーツなどスポーツ紙在京7社で構成)が制定する「第67回ブルーリボン賞」の各賞が28日までに決定した。授賞式は2月12日に都内で開催される。
挑戦となった一作で監督賞を受賞した。入江悠監督は「めちゃくちゃうれしいけど、この映画に関しては今まで自分が作ってきた映画とは成り立ちも演出方法も違うので浮かれちゃいけない気持ちがある」と冷静に受け止めた。
一本の新聞記事を元に取材を進め作り上げた。物語は子どもの頃から母親に殴られて育ち、12歳の時には母親の紹介で体を売ったこともある壮絶な女性の人生を描いた。「同時代を生きている人間としてこの問題を放置して先には進めない」と覚悟を持って制作に取り組んだ。
モデルとなった女性はすでに亡くなっている。だからこそ「その人と向き合っていくことはずっと続く。自分が死ぬ直前にその責任を果たし終わっていたら、あの時にブルーリボン賞をもらったなと喜べるかもしれない」と静かに語った。
【第67回ブルーリボン賞 受賞者・作品】
作品賞「侍タイムスリッパー」
監督賞 入江悠監督「あんのこと」
主演男優賞 山口馬木也「侍タイムスリッパー」
主演女優賞 河合優実「あんのこと」「ナミビアの砂漠」
助演女優賞 小泉今日子「海の沈黙」「碁盤斬り」など
助演男優賞 大沢たかお「キングダム 大将軍の帰還」
新人賞 早瀬憩「違国日記」「あのコはだぁれ?」
外国作品賞「オッペンハイマー」
