歌手・前川清（７５）がメインボーカルを務めた「内山田洋とクール・ファイブ」のメンバーとして長らく活躍した小林正樹（こばやし・まさき）さんが、１５日午前４時に、老衰のため都内の病院で死去していたことが２１日、分かった。８１歳。長崎県出身。葬儀・告別式は、１８日に近親者のみの密葬で営まれたという。

　小林さんは“歌手・前川清”の生みの親として知られる。前川が２０歳ぐらいの頃、長崎県佐世保市のナイトクラブでステージに立っていた時、その歌声にほれ込みクール・ファイブのメンバーとしてスカウトしたのが小林さんだった。

　前川は常々「あの時、小林さんと出会ってなかったら、今の自分はない」と語り感謝していた。また近年、がんを患うなど体調が思わしくなかった小林さんのことを、いつも気に掛けていた。

　昨年デビュー５５周年を迎えた前川は、同年２月に中野サンプラザで記念コンサートを開催し、小林さんを含めた４人のクール・ファイブのメンバーと、当時のヒット曲を披露した。コンサートの３日前に体調不良となった小林さんが、何とか駆けつけ、一緒にステージに立ち、歌唱できたことを何より喜んだ。

　昨年１０月には、２人の故郷・佐世保市で開催した５５周年コンサートに、小林さんを招待。思い出の地で、恩人と２人で、懐かしさに浸りながら歌声を響かせた。「６０周年も一緒にステージに立ちたい」と語っていたが、これが最後の共演となった。前川は「根っからのステージマンなので、痩せてヨロヨロしながらも立派に歌を歌ってくれて会場が大歓声に包まれました。それが最後になってしまいましたが、今も雄姿が目に焼き付いています」と振り返った。

　密葬に参列し、天国へと見送った前川。「これまで芸能界で仕事をしてこられたのは、クール・ファイブのメンバーに加えてくれた小林さんのお陰であり、私にとっての恩人です」と、別れを惜しんだ。