陸自ヘリ 原形とどめず 水深約106メートル海底から引き揚げ フライトレコーダー回収
沖縄県宮古島付近の陸上自衛隊UH60JAヘリコプター事故で、民間作業船は2日、海底から機体の主要部分を甲板上に引き揚げた。自衛隊が事故当時の高度や速度、姿勢などの情報が保存されているフライトレコーダー(飛行記録装置)も回収したことが政府関係者への取材で判明。陸自は今後、データを抽出して解析するなどして事故原因を特定する方針だ。
これまでに遠隔操作型無人潜水機(ROV)で機体を大型の網の上まで移した。2日、網に包み込まれた状態でつり上げられた機体は、原形をとどめないほど大きく壊れていた。事故調査のため、陸自施設に移す見通し。
現場海域はここ数日で一番の快晴となったが、沖合の波は高い状態。作業船の甲板には2日朝からヘルメットを着用した船員の姿が複数あった。
1日の機体回収に向けた準備作業では、作業船が新たに1人を引き上げ、死亡が確認された。自衛隊の捜索で4月に海底から見つかり、残されていた1人と同一かどうかは不明。陸自が死因や身元の特定を進める。
機体引き揚げの場所は、宮古島の西隣にある伊良部島の北約6キロ、水深約106メートルの海底。4月28日以降、付近の海域に複数の作業船が入っている。29日に海底や機体の状況に関する調査を始め、30日は波が高かったため作業を中止。5月1日に調査を再開し、引き揚げの準備を進めていた。
ヘリには10人が搭乗し、4月6日午後、宮古島北西で消息を絶った。死亡が確認されたのは6人で、このうち陸自第8師団の坂本雄一・前師団長(55)ら5人の身元が特定されている。
