自転車の努力義務「ヘルメットだけでいいの!?」高齢者事故を間近で見て感じた恐怖
「走ってきた自転車が転倒し、目の前で高齢女性が地面にたたきつけられ、急いで駆けつけたんです」というのは、兵庫県西宮市に住むM子さん。バッグが道路に放り出され、飛んでいきそうな勢いで自転車が跳ねたという。「ヘルメットを着用して無事だったようですが、膝をアスファルトに打ち付けたのか、立ち上がれず、ストレッチャーで運ばれていきました」
4月1日から道路交通法の改正で、着用しなくても罰金が科されることはないが、自転車に乗る際のヘルメットが「努力義務化」された。デザイン性高いものは在庫不足で入荷待ちになっている。
西宮市の交通安全対策課によれば、令和4年の交通事故による死亡者は7人で、そのうち3人が自転車乗用中だった。兵庫県警察の発表によると、県内で自転車乗用中の事故で22人が死亡し、そのうち21人がヘルメットを着用していなかった。自転車事故で死亡した人の約6割が、頭部に致命傷を負っていたというデータもある。ヘルメットは万が一の時に頭部への被害を軽減させ、命を守ることにつながる。
だが「高齢者の場合、ヘルメット着用だけでは心配です」と、事故を目の当たりにしたM子さんはつぶやいた。実はM子さんの祖母は、骨折で寝たきりになり、刺激の少ない環境下で認知症になってしまった。それだけに、自転車転倒による高齢者の骨折を危惧している。
寝たきりになる大きな要因のひとつに、大腿(だいたい)骨頸部(けいぶ)骨折がある。高齢になれば、自転車を乗るのをスパッと止めることも選択肢の一つだが、どうしても乗らねばならない事情の人もいる。現在も自転車用のプロテクターが販売されているが、それらを利用するのもひとつの手だ。
高齢者社会を見据え、現在市販されている物よりさらに衝撃から守る高性能クッション材使用のヒッププロテクター、リストプロテクターや膝サポーターなど、高齢者がデザイン性を楽しめ「普段使いできる防具」を開発してもらえると、自転車転倒時の骨折対策になるのでは?とM子さん。高齢の親にはヘルメットはもちろん、プロテクター装着も勧めたい。
【警察庁ホームページ】
頭部の保護が重要です ~自転車用ヘルメットと頭部保護帽~
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/toubuhogo.html
(デイリースポーツ特約・市来島姫)
