仲代達矢「あこがれの的、学ぶこと多かった」 奈良岡朋子さん死去に大物スターたち悼む

 新劇を代表する名優で、映画やテレビドラマなどでも幅広く活躍した劇団民藝代表の奈良岡朋子(ならおか・ともこ)さんが23日午後10時50分、肺炎のため東京都内の病院で死去していたことが29日、分かった。93歳。東京都出身。葬儀は近親者のみで26日に行った。喪主は民藝の演出家でめい(実兄の長女)の丹野郁弓(たんの・いくみ)さん。故人の遺志により、お別れの会等は行わない。

 大物スターたちが奈良岡さんを悼んだ。

15歳で奈良岡さんの娘役を演じて以来、慕ってきた女優の吉永小百合(78)は、大河ドラマ「風と雲と虹と」(76年)などで共演したり、73年に結婚した際には奈良岡さんが証人を務めたりするなど公私ともに交流が深く、「仕事のこともプライベートのことも何でも相談できる、かけがえのないお母さんでした」としのんだ。

 吉永の次回作となる映画「こんにちは、母さん」では民藝創立者・宇野重吉さんの息子・寺尾聰と共演。「知らせたくてお手紙したけれど、ご返事がなくて不安に思っていました」と明かし、「感謝の思いでいっぱいです。長い間、本当にありがとうございました」と“母”に伝えた。

 俳優の仲代達矢(90)は「同じ戦後の華やかなりし『新劇』世代ですが、彼女は私よりも2、3年先輩で、私が俳優座の養成所に入った頃には、既に新劇界の輝くスター的な存在で、われわれのあこがれの的でもありました」と回想。

 舞台「ドライビング・ミス・デイジー」(05~08年)では約300ステージを共演し、「古い友人に会ったような親しさがあり、繊細でこまやかな彼女の心理描写には学ぶことが多かったものです」と懐かしんだ。

 映画「釣りバカ日誌」シリーズで共演した俳優の西田敏行(75)は「日本の演劇界は大変な宝を失いました。正しく名優でした。演劇、映画、テレビ、ラジオに遺された功績は我々後輩の追随を許さぬ偉業でした」とたたえた。

 ◆樫山文枝(女優、劇団民藝の後輩)「ご自分に厳しくいつも先頭をきって歩いておられました。芝居作りにかける貪欲で繊細でストイックなお姿が目に焼きついています。私のはるかな目標でした。もう一度ご一緒の舞台をふみたかったです。残念でなりません。長い間ありがとうございました」

 ◆日色ともゑ(女優、劇団民藝の後輩)「朋子姉さんに別れを言う日がとうとうきてしまいました。信じられないし、信じたくない私がいます。入団して右も左も分らない時、テレビで朋子姉さんと母娘を演じたことがあります。姉さんの背中はあったかくて凛としていて、安心できました。それから60年近く私はその背中を追いかけ続けてきました。80歳すぎても“まだまだ進歩したい”と言ってらした奈良岡朋子先輩は私に新劇俳優としての指針を示してくれました。ありがとうございました。おつかれさま、本当におつかれさまでした」

 ◆石川さゆり(歌手、舞台「黒い雨」を毎年観劇するなど親交)「人にも、ご自分にも厳しい奈良岡さんでした。原発のことも、戦争のことも、いつも日本や世界の出来事に怒り、心を痛めていらっしゃいました。皆で平和であることを守らなければと思います。良い芝居とは、歌とは、いろいろな事を教えて下さいました。驚きと寂しさでいっぱいです。心やすらかに、ご冥福をお祈り致します」

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