松本零士さん、逝く 「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」巨匠、星の海へ 急性心不全、85歳

 松本零士氏
 漫画「銀河鉄道999」と「宇宙戦艦ヤマト」
 漫画「男おいどん」
3枚

 「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」などの大ヒット作を生み出してきた漫画家の松本零士(まつもと・れいじ、本名晟=あきら)さんが13日午前11時0分、急性心不全のため都内の病院で亡くなったことが20日、わかった。東映などが発表した。85歳、福岡県出身。葬儀は近親者で執り行った。喪主は妻で漫画家の牧美也子(まき・みやこ)さん。後日、お別れの会を開催する予定。    

  ◇  ◇

 宇宙に憧れ、夢を描き続けた巨匠が逝った。「漫画家 松本零士が、星の海に旅立ちました」。長女で零時社の代表を務める摩紀子さんが公式サイトなどで訃報を伝えた。関係者によると、少し前に体調を崩し高齢であることから都内の病院に入院していたという。

 19年11月に「宇宙海賊キャプテンハーロック」のテレビ放送40周年記念で訪れたイタリア・トリノで倒れ集中治療室で治療を受けた。「脳卒中で搬送」と深刻な状況が現地紙に報じられたが、復活を果たし、車いすに乗って帰国。その後は体調も持ち直していたという。84歳の誕生日だった昨年1月25日には、飼い猫ミーくんを抱いた写真をツイッターに公開。血色も良く、愛猫へ穏やかな表情を向けていた。

 話し好きで心が広く、誰にでも平等に接した松本さん。どくろマークの入ったキャップがトレードマークで、「骨となっても戦う」という強い信念が込められていた。

 手塚治虫氏の作品と出合い漫画を描き始め、高校在学中にデビュー。出世作となった「男おいどん」は自身の体験を投影し、4畳半の下宿で極貧生活を送る若者たちをコミカルに生き生きと描いた。

 企画に参加し、漫画版を手がけた「宇宙戦艦ヤマト」は大ヒットし、アニメブームの火付け役に。日本陸軍のパイロットだった父の影響で宇宙への憧れを抱き、「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」などのSF作品で壮大な物語を描いた。作品は日本のみならず、世界中でファンを獲得。現在でも根強い人気を誇る。

 社会的な影響も大きかった。漫画やアニメ分野はもちろん、宇宙飛行士の星出彰彦さんは松本作品がきっかけで宇宙への興味を抱いたことを公言。「999」に登場する謎の美女・メーテルは、その美貌と強い母性で世の男性をとりこにした。

 また、世界的なヒット作を持つ仏の音楽デュオ「ダフトパンク」のMVを手がけるなど活動は多岐にわたった。数々の功績が認められ2001年に紫綬褒章、10年に旭日小綬章、12年にはフランスの芸術文化勲章を受章。

 長女の摩紀子さんは「漫画家として物語を描き続けることに思いを馳せ駆け抜けた、幸せな人生だったと思います」とコメントした。生前、松本さんは「遠く時の輪の接する処で、また巡り会える」と常々話していたという。地上を離れた松本さんは、憧れの宇宙を巡る長い旅路を歩み始めた。

 ◆松本零士(まつもと・れいじ)1938年1月25日生まれ、福岡県出身。15歳で「漫画少年」に掲載された投稿作「蜜蜂の冒険」で商業誌デビュー。57年に「少女」に掲載された「黒い花びら」で実質的な漫画家デビュー。75年に「宇宙戦艦ヤマト」で星雲賞、78年に「銀河鉄道999」、「戦場漫画シリーズ」で第23回小学館漫画賞を受賞。2001年に紫綬褒章、10年には旭日小綬章、12年には仏芸術文化勲章シュバリエを受章。宝塚大教授などを歴任した。

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