麻倉未稀 「乳がんと共に」27日40周年記念アルバム「人生はドラマ-」発売

 デビュー40周年を迎え、思い出を話す麻倉未稀(撮影・佐々木彰尚)
 イベントで熱唱する麻倉未稀=1990年8月
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 スポーツアンセム、人生の応援歌として今も歌い継がれる名曲「ヒーロー」(1984年)で知られる歌手の麻倉未稀(61)がデビュー40周年、アニバーサリーイヤーの大詰めを迎えている。62歳の誕生日である27日にリリースする40周年記念アルバム「人生はドラマ これからも続く私のヒーロー物語」や、2017年の乳がん罹患(りかん)などについて、胸の内を語った。

 麻倉に40年で一番のドラマを聞くと「がん告知です」と笑顔で答え、「40周年に元気でいられることが大きなドラマだと思います」と言い添えた。

 17年、テレビ番組でステージ2の乳がんが発見された。放送や公表の可否などを、病院から帰宅する東海道線の数十分で、自身で判断する必要があった。泣いたり、いろいろなことを考えたりしたが「『ヒーロー』を歌っていて、みんな元気に頑張ろうぜって言ってたのに、がんですから頑張れませんって言えないな」と思い至り、公表を決断した。

 手術で左乳房を全摘出し、同時に再建したが、これは「片方だけ全摘するとバランスが崩れるっていうのがあって再建を選びました。全部歌優先でした」という理由だった。

 現在はホルモン治療中で、「あと5年薬を飲まなきゃいけない」という。20年以上たって再発した例もあり、今は「乳がんとは一生を共にしていかなければいけない」と、腹をくくっている。

 乳がん患者のサポートも始めた。翌18年、地元の神奈川県藤沢市で「ピンクリボンふじさわ」を立ち上げ、ピンクリボンウォーク、ピンクリボンシンポジウムといった乳がん検診の啓発運動にも参加。「少しでもお役に立てる場所を作ろう」と考え、NPO法人も立ち上げた。

 40周年の活動も、事務所から最初に言われた時は「再発、転移してるかもしれないしって考えると想像できなかった」が、「患者さんたちと接したり、ピンクリボンふじさわを立ち上げたりして活動していく中で、目標があれば元気にいろいろできるんではないかと思った」と、がん患者の支援活動が自分の力にもなっていた。

 また、19年のラグビーW杯日本大会に合わせて各種イベントに招かれる機会が増え、「色んな所で『ヒーロー』を歌わせていただけたのはすごくうれしかったな」と、ラグビー、そして「ヒーロー」からも、逆に力をもらっていたという。

 記念アルバムは、担当したドラマ主題歌のリマスター3曲、新録カバー9曲、「ヒーロー」の一発録り新録、新曲「The Breath of life」で構成。新曲の詞は、がん患者の支援活動で「一人じゃないんですよっていうことを語りかけることが多かったので『一人じゃないよ』っていうのを」長く親交がある松井五郎氏に依頼した。

 作曲は長年の同志・庄野真代。昨年、悪性リンパ腫を患った庄野に「曲を書いていただくことで前向きに色んなことを考えられるとうれしいなと」依頼。「『明るいんだけどポンポンと歌える曲がいいかなと思って作りました』って言ってくださって」という、庄野らしいシティポップの佳曲に仕上がった。

 「CHA-CHA-CHA」のカバーは、原曲を歌った石井明美と、原曲に参加したつのだ☆ひろが参加。新曲のコーラスに参加した澤田知可子も含め、40年で培った友情が記念作を彩っている。

 40周年に「こんなに長く歌うとは想像していなかったので、長い道のりだった、ただ、あっという間だなって感じています。あれ、もう40周年なの?って。うっかりしてると45周年って言われるのかな」と笑った。麻倉未稀のドラマは、まだまだ続いていく。

 ◆麻倉未稀(あさくら・みき)1960年7月27日生まれ、大阪府出身。「装苑」モデルをへて81年、オンワード樫山のCMソング「ミスティ・トワイライト」でデビュー。84年、ドラマ「スクール☆ウォーズ」の主題歌「ヒーロー」が大ヒット。代表曲にドラマ「スチュワーデス物語」の主題歌「ホワット・ア・フィーリング」、同「乳姉妹」の主題歌「RUNAWAY」などがある。テレビ東京「カラオケ★バトル芸能界NO.1決定戦」で優勝するなど歌唱力は折り紙付きで、ミュージカルでも活躍。

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