３日に横浜市内の自宅で急逝した俳優・渡辺裕之さん（享年６６）の密葬が１０日、同市内で営まれた。喪主を務めた妻で女優・原日出子（６２）は所属事務所の公式サイトでコメントを発表。密葬を終えたことを報告すると共に、渡辺さんが自律神経失調症と闘っていたことを明かし「心の整理も出来ませんし、語る言葉も見つかりません」と胸中を吐露。「今は全ての苦しみから解放され、自由になれたのだろうと信じたいです」と無念の思いをにじませた。

　突然の別れから一週間。最愛の夫を荼毘に付した原が、胸中を初めて明かした。発表された文書には、生前のさわやかで屈強な渡辺さんの姿からは想像できない「病」との闘いがつづられていた。

　コロナ禍に見舞われた２０年頃から「先行きの不安を口に出すようになり、考え込むことが多くなりました」と変化があったという。「ストイックで、一生懸命で、手を抜くことをしない」夫は不眠などの不調を訴えるようになり自律神経失調症と診断。「一時はお薬を服用していました」と説明した。

　その後、「元気を取り戻したようでもありました」と回復の兆しを見せたという。だが「少しずつじわじわと、心の病は夫を蝕み、大きな不安から抜け出せなくなりました。医師にも相談し、希望の持てる治療を始めた矢先の、突然の出来事でした」と明かした。

　亡くなる前日は、ゴルフ番組の収録に向けて「久しぶりに元気に動き回り」準備をしていたという。この数カ月は「私も、家族も、懸命に向き合った毎日でした」としつつ「今は何を思っても、言い訳になってしまいそうで、後悔を数えたらきりがありません」と無念さをにじませた。

　９３年に結婚し、０１年には「パートナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。芸能界きってのおしどり夫婦として知られた。かけがえのない夫を亡くし「『何故…』は、きっと誰にもわからないと思います」と悲痛な思いを吐露。「今は全ての苦しみから解放され、自由になれたのだろうと信じたいです」とし「信じられないほど綺麗で、安らかな顔で旅立ちました。それだけが、私たちの救いです」と天国の渡辺さんに思いを巡らせた。

　渡辺の所属事務所も公式サイトに「渡辺裕之の魂は決して失われる事なく、これからも皆様の心のうちに輝き続けることを祈っております」と社長名でコメントを発表した。

　◆厚労省のホームページで紹介している主な電話相談窓口は次の通り。

　▽いのちの電話（０５７０）７８３５５６（午前１０時～午後１０時）、（０１２０）７８３５５６（午後４～９時、毎月１０日は午前８時～翌日午前８時）

　▽こころの健康相談統一ダイヤル（０５７０）０６４５５６（対応の曜日・時間は自治体により異なる）