テレビドラマやＣＭなどで活躍した俳優の渡辺裕之さんが、今月３日に死去していたことが５日、分かった。所属事務所などが発表した。６６歳。神奈川県内の自宅で亡くなっているのを家族が発見したという。所属事務所の公式サイトは、渡辺さんについて「自宅で縊死（いし）致しました」と公表。葬儀は近親者のみで密葬で行うという。

　◇　◇

　渡辺さんの急逝を受け、神奈川県横浜市内の自宅には、芸能関係者や近隣住民などが数多く弔問に訪れた。

　ゴルフ仲間でもあり、古くから親交が深いという俳優・鶴見辰吾（５７）は、死去の一報から約４時間後に来訪。渡辺さんとの急過ぎる別れを惜しんだ。帰宅時には集まった報道陣から質問を投げかけられたが、無言を貫いた。

　隣の町内に住む７０代の女性は、渡辺さんの自宅前で合掌。近隣のゴミ拾いを「夢拾い」と称して清掃活動に励む渡辺さんを見たことがあるといい、「えんじ色のジャージーを着て、ゴミ掃除をしてて。自分の町内だけじゃなくて、隣町の分までやっていた。顔見たらあんなかっこいい俳優さんなのに、朝７時に生ゴミの中の瓶や缶を分別していた。とても感じのいい人でした」と語った。また、長男で俳優の渡辺貴裕（２５）と、近所をランニングする姿もたびたび目撃したという。

　私生活でも、周囲からは優しいと評判だった渡辺さん。近所に住む女性は「駅前のスーパーに一緒に行ったことがある。渡辺さんが連れて行ってくれたんです」と懐かしそうに明かした。弔問に訪れた女性は流れる涙をハンカチで拭き、うつむきながら渡辺の自宅を後にするなど、近隣住民からも愛されていたことがうかがわれた。

　自宅は閑静な住宅街にあり、玄関には「こども１１０番の家」の看板も。弔問には親に連れられた子どもの姿も多く、自転車を止めて家を心配そうに見つめる子どもたちの姿も見受けられた。