お笑いトリオ「サムライ日本」リーダーの花村多賀至さん（はなむら・たかし＝本名・喬志＝たかし）が１１日午後０時５９分、老衰のため東京都内の高齢者施設で死去した。８２歳。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は妻・昌江（まさえ）さんが務めた。

　昌江さんの話によると、東京・浅草の東洋館や地方などで漫才を行っていたが、７５歳ごろから仕事をセーブするようになった。認知症や糖尿病に悩まされ、約３年前に施設に入所。コロナ禍では、家族と月１度のリモートで、１０分弱しか会話できない日々が続いた。

　今月５日に昌江さんは医師から容体が悪いことを告げられ、花村さんは約１週間で家族全員と面会。最後、家族の到着は間に合わなかったというが、「やすらかに眠るように旅立ちました」と明かした。

　長野県出身で、日大芸術学部在学中からＴＢＳに所属し、その後、長谷川一夫劇団で活躍。７０年「サムライ日本」を結成。本格的な殺陣を生かしたチャンバラコントで人気を集め、ＮＨＫ「お好み演芸会」「ひるのプレゼント」といったテレビの演芸番組などに出演した。米国、台湾、シンガポールなど海外公演も行った。

　家では「寡黙な人だった」と昌江さん。「表舞台とは全然違うと言われていた。でもしゃべっていなくても、通じるものがあった。優しい方だった。やっぱり寂しいです」と亡き夫への思いをこぼした。