バイデン氏勝利は現職不人気の裏返し【米大統領選分析】
米主要メディアは7日、米大統領選で民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)が勝利したと報じた。激戦だった最重要州の東部ペンシルベニアを制し、当選に必要な選挙人の過半数を獲得。「分断ではなく結束を目指す大統領になる」と勝利宣言した。就任すれば史上最高齢の米大統領となる。副大統領にはアジア系で黒人のカマラ・ハリス上院議員(56)が就き、女性として米史上最高の政治的地位を手にする。一方、共和党のドナルド・トランプ大統領(74)は「選挙は終わっていない」と、敗北を認めない姿勢を示した。
◇ ◇
バイデン氏は選挙戦を通じて訴えてきた「全ての米国人のための大統領になる」という言葉を、当選報道後もツイッターで繰り返した。分断解消への強い意欲の表れだ。
政治経験は豊富だが、新政策があるわけではない。5月に黒人男性暴行死事件が起きて抗議デモが拡大した時や、10月にトランプ氏が新型コロナウイルスに感染した時に支持率が上昇。勝利は現職不人気の裏返しだ。
トランプ政権下の米国は白人至上主義や極右運動が公然化し、黒人への不当な暴力も頻発。感染対策でマスクを着けるかどうかも政治論争に発展するほど党派対立が進んだ。論理や科学的根拠を欠く政策に反発する官僚の辞職、更迭も増えた。
こうした現状を危ぶんだバイデン氏。「米国の魂を取り戻す戦い」と位置付け、トランプ氏に幻滅した共和党支持者や元高官の後押しも得た。
トランプ氏の敗因は既存政治を攻撃した前回選の成功体験が逆に亡霊となって足を引っ張ったとの見方が広がる。
再選を狙う現職は実績を強調できれば有利だが、トランプ氏は民主党やメディアを敵視する言葉を吐き続けた。討論会でもバイデン氏批判を繰り返すだけ。ワシントン・ポスト紙はトランプ氏を「永遠のアウトサイダー」と評する。
政権運営で目立ったのは、支持層への露骨なアピール。キリスト教右派が重視する親イスラエル政策や人工妊娠中絶への反対、保守派の最高裁判事指名…。支持率は4割前後で安定し続けた。
一方、不支持率も5割超で高止まり。他者攻撃に徹し、支持層拡大に失敗した。専門家は「2016年は国民の不満を代弁していたが、今は自分のために文句を言っているだけ」と冷たかった。
