九州豪雨死者50人超 政府、特定非常災害指定へ

 活発な梅雨前線の影響で九州は7日も北部を中心に猛烈な雨が降り続いた。大分県日田市で筑後川が氾濫するなど被害が拡大。福岡、熊本両県の犠牲者は56人になった。心肺停止は2人、行方不明は12人。気象庁は福岡、佐賀、長崎3県への大雨特別警報を警報に切り替えたが、前線は9日ごろにかけて停滞、九州含め列島各地で大雨になる恐れがあり、引き続き厳重な警戒を呼び掛けた。

 政府は九州の豪雨を特定非常災害に指定する方針を固めた。昨年の台風19号に続き7例目で、運転免許証の有効期間延長などの特例措置が適用される。

 筑後川の氾濫を受け、福岡管区気象台と国土交通省は7日午前、大雨・洪水警戒レベルで最高のレベル5に当たる氾濫発生情報を発表。大分県日田市で天ケ瀬温泉の旅館が浸水し、10カ所以上で土砂崩れが起きた。玖珠川沿いに立ち並ぶ旅館は、どこも土砂が流入。女性従業員は「あっという間に川の水が押し寄せてきて2階に逃げた。水が引くと、1階は冷蔵庫や家具が散乱し、泥だらけだった」と振り返る。

 福岡県大牟田市では避難所が周囲の冠水で孤立状態となり、被災者が自衛隊に救助された。隊員が膝上まで水に漬かりながらボートを引いて住民を搬送。救助された女性は「水が胸の高さまで来てすごく怖かった」。市内の複数の病院も浸水。同市の田中春子さん(87)が6日夜に冠水した自宅で見つかり、病院で死亡が確認された。

 熊本県では山間部で多くの集落が孤立し、インフラが断絶。県などが住民を避難所に運んだ。山鹿市では田んぼに落ちた車の中から見つかった高齢の男女2人の死亡が確認された。

 総務省消防庁によると、7日午後2時半現在で避難指示の対象は九州を中心に計約63万世帯、138万人に上る。気象庁によると、7日は熊本県南小国町で1時間に82・0ミリ、大分県日田市で80・5ミリの猛烈な雨を観測。24時間降水量は大分県日田市、福岡県大牟田市、熊本県山鹿市、長崎市で400ミリを超えた。前線は9日ごろにかけて西日本から東北に停滞する見込み。長野、岐阜、静岡、奈良、愛媛各県に土砂災害警戒情報を発表し、早めの避難を促した。

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