坂本龍一 「戦メリ」秘話…故大島渚監督がオフィスに現れて
音楽家の坂本龍一(68)が20日、都内で行われた「第1回大島渚賞」の記念上映会に登場した。坂本は同賞の審査委員長を務めており、受賞者の小田香監督(33)、審査委員の黒沢清監督(64)とトークイベントを行い、故大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」(1983年公開)で音楽を担当した思い出を明かした。
小田監督の受賞作「セノーテ」は、メキシコ・ユカタン半島にある洞窟内の泉を、監督自身がダイビングを学び水中撮影に挑んでいる。“音”が本職の坂本は、水中でとった音に興味津々で「何で録音したの?音がとてもいい。音に関する感覚が鋭くて、音に対する挑戦もみられる」と称賛した。
坂本が初めて映画音楽に関わったのが、公開当時、故デヴィッド・ボウイさん、ビートたけし(73)、坂本自身の出演が話題となった「戦場のメリークリスマス」。坂本は「大島さんが『出演してくれ』とオフィスに来たんです。その時に『音楽もやらせてください』って言ったら、大島さんが『お願いします』と言ってくれて」と当時を振り返った。
坂本は「YMO」などの活動で“教授”と呼ばれるほどの音楽家だったが、映画音楽に関してはズブの素人。「南の島でロケをやったけど、インスピレーションがまったく湧かなかった。撮影が初めてなので、楽しんじゃって。東京へ帰って、0から始めたんです」と裏話を明かした。
坂本は粗編集のビデオを見て、音楽をつける箇所を大島監督に確認したが「それでやってくれ」とOKが出たという。音楽作りの際にも、大島監督に聴かせると「いいですね。そのまま続けて。100%使うから」とお墨付きをもらったそう。
坂本は「完全なビギナーズラックでした。2作目からは注文に縛られました。(音楽を)直し続けた40年です」と大島監督との“よき思い出”を話した。