結成50周年の頭脳警察 裕也さん、エンケンさん、ミチロウさんら亡き仲間への思い

 過激な歌詞のためアルバムが相次いで発禁になったり、新左翼系のイベントに出演したりするなど反体制の象徴でもあったPANTA(69=ボーカル、ギター)とTOSHI(69=パーカッション)の伝説的ロックバンド「頭脳警察」が12月で結成50周年を迎えた。9月18日には50周年記念アルバム「乱破」を発表した2人が、亡くなった仲間たちや、未来への思いを明かす。

  ◇  ◇

 今年、頭脳警察と縁の深いアーティストである内田裕也さんが3月に、遠藤ミチロウさんが4月に、相次いで死去した。

 頭脳警察は初期から裕也さんと共演する機会が多く、裕也さんが主催する老舗の音楽フェス「ニューイヤー・ワールド・ロック・フェスティバル」にも1973年の第1回から度々出演した。

 PANTAは「こないだ内田裕也の服いっぱいもらってきたけどさ。アディダス含めて」と形見分けされたことを明かし、「ホント全部まわりがいなくなるからね。ジョー(山中)はいない(安岡)力也はいない桑名(正博)はいない。で、裕也さん。去年、TOSHIと2人で『ニューイヤー』に出られて良かったなあと思ったの。内田裕也の前でね」と寂しがった。

 「乱破」には裕也さんがカバーして裕也さんの代表曲となり、裕也さんの映画の題名にも使われた「コミック雑誌なんかいらない」のセルフカバーが収録されている。PANTAは「言わずもがなで、やるしかない」と追悼の意味合いを認め、「彼、必ず二番から歌い出した。彼は映画が好きだから、『俺のまわりは映画のスクリーン』っていうの(歌詞)を『テレビのスクリーン』に変えてんだよ。裕也さん、テレビはスクリーンじゃねえんだけど」と笑った。

 TOSHIはパンクバンド「スターリン」で知られるミチロウさんとバンド「羊歯明神」を組んでおり、ミチロウさんの死まで活動を共にした。

 PANTAは「その辺は、TOSHIが一番、付き合い深かったから。エンケン(注・2017年に死去した遠藤賢司さん。TOSHIは72年のアルバム『嘆きのウクレレ』に参加。91年から遠藤賢司バンド加入)もミチロウもね。TOSHIはかなりミチロウ、エンケンロスがデカかったかな。俺も心配になっちゃって。その穴はデカかったんでしょ」と振り返り、TOSHIも「小さかないな。今でもホントにだんだんミチロウのことがボディーブローみたいに効いてくるからね。やっぱ寂しいやね。残念だし寂しい。エンケンもそうだけどね」と認める。

 エンケンさんは亡くなって2年がたち、TOSHIは「ちょっと時間がたって、こないだ初めてエンケンの夢見て。楽しい夢だったのよ。一緒にツアーやっててね、楽しい旅だった」と、悲しみが癒えつつあるよう。

 「亡くなったからその分をっていうのはないよね。そういう付き合いだから。お互い、ミチロウともそうだし、エンケンとも、人と人とで付き合ってたからね。PANTAもそうだけど。ただ無常感だけですよね、いなくなったっていう」

 PANTAは加藤和彦さん、初デュエットの相手で曲提供や共演もした松原みきさん、故人となった頭脳警察のメンバーらの名を挙げて「別れをしなきゃいけなかったこともいっぱいある」と惜しみつつも、「新しい出会いもあるし。どんどん受け継いで、前へパスするんじゃなくて後ろへしなきゃならないんだよね、ラグビーはね。タックルもするし」と、未来を見ている。

 現在のバンドメンバーは樋口素之介(ドラム)、黒猫チェルシーの澤竜次(ギター)と宮田岳(ベース)という、90年に再結成した頃に生まれた世代だが、2人は「話がそのまま通じるっていうのがまたいいやね。それが音楽やってる、ロックやってる強みかな。言葉、何もいらずにステージ上がれば、そのまま通じるのがいいね」(PANTA)、「そういうとこってホント、年齢関係ないもんね、ミュージシャンは」(TOSHI)と、「後ろへのパス」を楽しんでいる。

 ◇頭脳警察50周年ライブ「Right Left the Light~ど真ん中から叫んでやる~」(11月25日、東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE)

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