スクール☆ウォーズ出演の元俳優が語る名作ドラマ秘話…山下真司「お前たちは…」

 W杯で史上初のベスト8入りを果たしたラグビー日本代表は、20日に準々決勝で南アフリカ代表と対戦する。日本にラグビーを根付かせた立役者が、1984年10月から85年4月まで放送されたTBS系ドラマ「スクール☆ウォーズ」。同作にメインキャストの1人として出演し、現在は東京・世田谷区下馬で「都寿司」を営む宮田恭男さん(55)がデイリースポーツの単独取材に応じ、国民的人気を誇った同作の知られざるエピソードを語った。(上)(下)で届ける。以下は(上)。

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 同作出演までラグビーはまったく知らなかったという宮田さん。「撮影が冬場だし、激しいスポーツじゃないですか。だから普通の撮影みたいに、コートを着てたき火にあたって、本番だけコート脱いで…とかできないんですよ。自然と自分の出番じゃないときには走ってランパスしたりして、体を温めてました」という。

 主役の熱血教師・滝沢賢治を演じたのは、当時32歳だった俳優・山下真司。「山下さんはよく、僕らに向かって『お前たちは、技術的にはできないんだから、気持ちで行くしかないんだ』という話をしてくれた。そのせいか、自分が映っていない時でも、芝居に参加してたりしましたね。(芝居で)泣いているメンバーに合わせて泣いたり…。本当に『One for all, All for one』の現場でした。今でも山下さんとか松村(雄基)さんとかが『ああいう現場は独特だった』って言いますね」と述懐した。

 日本にラグビー文化を根付かせた立役者の1人であることは、疑いようもない。だが宮田さんは「そういう思いはないんです」とあっさりしたもの。「僕らがやったのは、1年ぐらい。気合を入れてやったという自負はあるんですけど、やったらそれっきりなんですよ。あとは皆さんが支持してくれたり、DVDを買ったりしてくれて、作品を成長させてくださった」と穏やかに笑った。

 宮田さんの父も寿司店を構えており、宮田さん自身も自然と寿司職人を目指していた。俳優業には特に興味がなかったというものの、天性の華とルックスを周囲は放っておかなかった。「家の近所にCMディレクターの人が住んでいて、おやじに『アルバイトでCMに出してよ』って交渉したらしく…。そのうち『あの子は誰?』っていう感じになって、ドラマにも出してもらった」という。

 しばらくは俳優業をメインにしていたが、やはり寿司職人への思いが強かった。「いつの間にやらテレビに出るようになったんで、何となく続けてた。(スクール☆ウォーズは)何回も再放送してるから、長く俳優をやってたと思われますけど、実際16歳から20歳ぐらいまでですから」と、本格的な芸能活動は4年ほどだった。

 そんな中でも「スクール☆ウォーズ」への思い入れは、やはり強い。「単なる寿司屋のオヤジが、30年も40年もたって、まだこうやって取り上げてもらえるドラマなんて、他にないよ」と笑った。「客商売をやっていると、ドラマを見ていた方の生の声を聞く機会がある。それを松村さんとかに話すんです。『ドラマを見てラグビー始めて、大学までやって、TBSに入社しました』という方もいましたしね」と、広がりのすごさも痛感した。

 宮田さんは同作の魅力として「原作が素晴らしい。原作の素晴らしさというのは、山口先生の素晴らしさなんです」と、主人公のモデルとなった伏見工の元監督・山口良治氏(76)の存在を挙げた。山下からは「本物はすごいから、ちょっとした小手先の芝居じゃ通用しないぞ」と指摘されたという。

 その山下は数年前、山口氏と会った際の話を、宮田さんに「つまんないこと聞いちゃった。何でこんなつまんないこと聞いたのかって恥ずかしくなっちゃった」と明かした。その内容は「『なぜ先生は、当時ダメな子どもたちを諦めないで教育していったんですか』って聞いたら、一言、『誰がその子をダメだと決めたんですか?』って。ああ、こういう人だった…と思った」というもの。宮田さんは「そういう人の話だから、ドラマとしてもそういう方向性で、諦めない、信は力なり、というテーマになったんでしょうね」と話した(下に続く)。

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