菅原小春 世界的ダンサー「いだてん」で“神回”の熱演…人見絹枝さんに感じた魂

 人見絹枝さんを熱演する菅原小春
 人見絹枝さんを演じる菅原小春
2枚

 世界的ダンサーの菅原小春(27)が、NHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」(総合、日曜後8・00)で女優デビューし、日本人女性初のオリンピックメダリスト、人見絹枝さんを熱演している。7日放送の第26回では、いよいよアムステルダム五輪に出場し、国民の期待を一身に背負ったオリンピアンの重圧と達成を体現。このほど行われたインタビューには、異例ながら演出の大根仁氏(50)も同席し「神回」と繰り返した。異業種から演技の世界に飛び込み、百戦錬磨の監督をうならせた異才の胸中に迫る。

  ◇  ◇

 ダンス同様に“魂”で演じたという。演技初挑戦にして菅原が求められた役は、1928年のアムステルダム五輪800メートルで銀メダルを獲得し、日本人女性初のメダリストになった偉人。女子スポーツ界のパイオニアを演じるべく、小手先に走らないと決めた。

 「ダンスでもテクニックがある方だと思わなくて、魂先行。そこはできたかなと思います。当時、トレーナーなんかいないじゃないですか?跳び方、走り方をみんなで試行錯誤して、作り上げていたので、やっぱり(自分の胸をとんとんと叩きながら)こっち。ダンスと通じるのはスキルじゃなく、人間の体を全部剥いだら、心臓、魂だけ。そういうものは同じものを感じることができました」

 まだ女性は家庭に入るべきとの固定概念が強かった時代。圧倒的身体能力で「化け物」と呼ばれ、孤独の中で世界と戦った人見さんを自身に重ねた。制作サイドがオファーした理由も「世界」「挑戦」など共通ワードを多く持っているから。

 「いつも自分って孤独な人だなって自暴自棄になるんです。海外に行っても一人だし、お風呂のフタをバーンと蹴って、寂しすぎて泣いたりしている。一人だとグルグルと犬が回ってるみたいになっちゃうけど、最近は共作だったり『なんだ頼ればいいんだ』と思うようになった。仲間がいるとこんなにも温かいんだ、笑えるんだって。それを人見さんの人生にも感じたし、ドラマを作っていく、みなさんにも感じた」

 役作りのため、岡山にいる人見さんの親族に会い、当時の愛用品や日記を手に取った。写真や動画は目にしたが、人見さん以外の人が書いた資料や文章には触れなかった。

 「人見さんの写真を見たとき、こういう風に(魂を)燃やしてきた人なんだなと感じた。(ダンスなら)ただ踊って、ただうまい、そういう顔をしていない。ただ走って、ただ速い、じゃないじゃないですか?調べて、誰かが書いた文字を見て、想像したくないなと思った」

 演技の現場は初めてだが、アプローチの一つ一つに独自の感性がにじむ。ダンス同様に感情を爆発させる演技は、演出する大根氏のハートも打ち抜いた。

 インタビューに同席した大根氏は「現場で撮ってると『だいたい、こうなるな』ってのが分かってしまうんですけど、10年に1本はとんでもないものができる。『神回』って言葉は好きじゃないんですけど、この回はそういう感じでした」と手放し。実際、五輪の控室で出場を直訴するシーンでは、報道陣向けの試写会場ですすり泣く者が続出した。

 大根氏の言葉に照れる菅原だが「人見さんみたいな共鳴できる人に出会えたとき、私の魂を燃やす意味があると思ったら、またやりたいです」と女優業継続に意欲。大根氏は「いっぱいオファーがくると思うよ」と話を継ぎ、演技界に鮮烈な名刺を届けた天才ダンサーは「選べるかな」と屈託なく笑った。

 ◆◆◆◆◆◆◆◆

 菅原小春(すがわら・こはる)1992年2月14日生まれ。千葉県出身。幼少期からダンスを始め、小中高と数々のコンテストに優勝。高校卒業後の2010年に渡米し、国内外を問わずオファーが相次ぐ。リアーナ、安室奈美恵、SMAPなどのバックダンサーを経験。振付師としてもEXILEや三浦大知、テミンらを担当した。NHK紅白歌合戦には16年に坂本冬美、18年には米津玄師とのコラボで出演している。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス