【専門家の目】ジャニー社長 くも膜下出血で入院 2週間がたち危険は過ぎた可能性も

 ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長は6月18日、「解離性脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血」で都内の病院に救急搬送された。現在も入院し、闘病が続くが、兵庫県芦屋市の松本クリニック・松本浩彦院長は、危険な状態は過ぎている可能性を示した。ネットでも「1日も早い回復を」と、多くの男性アイドルを育てた天才プロデューサーへの激励の声が多く集まった。

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 解離性脳動脈瘤破裂。聴きなれない病名ですが、くも膜下出血の原因としては5%未満の珍しい病態です。脳動脈瘤には2種類あります。脳の動脈の枝分かれする部分にできる風船状の嚢(のう)状動脈瘤と、脳の血管自体が膨らんでできる本幹動脈瘤で、解離性脳動脈瘤は後者を指します。

 破裂した場合、くも膜下出血となるのはどちらも同じで、手術しないと命の危険がありますが、実は、くも膜下出血で本当に怖いのは再破裂です。手術の目的は再破裂を予防することと言ってもいいくらいで、これは嚢状動脈瘤も解離性脳動脈瘤も同じです。

 それぞれの脳動脈瘤破裂に対しては手術の術式も異なります。嚢状動脈瘤はクリップで挟んで再破裂を予防するクリッピング法(開頭術)と、カテーテルを使ってコイルを送り込み内部を充填する方法(血管内治療)があります。解離性脳動脈瘤は動脈瘤ごと血管を閉塞する必要があり、トラッピング、近位部クリッピング、あるいはコイル充填法が検討されます。

 嚢状動脈瘤と解離性脳動脈瘤の大きな違いは、再破裂の時期と頻度です。

 解離性脳動脈瘤は再破裂のほとんどが1週間以内に起こり、発生率は嚢状動脈瘤より高いのですが、逆に1カ月を過ぎると一気に減少し、2カ月で再破裂の危険はほぼなくなります。急性期の治療が必須ですが、ジャニーさんの場合、発症から2週間がたっていますので、危険な状態は過ぎていると考えて良いでしょう。

 解離性脳動脈瘤は、頸椎からうなじを通って脳に通じる椎骨動脈にできるため、後頸部(けいぶ)から後頭部にかけての強い痛みが主症状となり、もともと頻度も少ないことから、しばしば見逃されがちですが、早く見つかって早く治療を受けられたことは僥倖(ぎょうこう)と言えます。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ) 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、(社)日本臍帯プラセンタ学会会長。

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