吉田尚記アナがバーチャル空間で燃やすラジオ魂「なぜそんなことを?」がカギ

 ニッポン放送に入社してから約20年間、多くのサブカル関連番組に情熱を注いできた吉田尚記アナが、今、バーチャルユーチューバー(Vチューバー=CGアニメなどを前面に立ててユーチューブで活動する人のこと)の世界に飛び込んでいる。制作部でも、スポーツ担当の部でもない、「ネクストビジネス戦略部」所属のアナウンサーが、これからどんなことをラジオで届けたいと考えているのかを聞いた。以下、上・下2回にまとめたインタビューの【下】。

 「ヲタクとアナウンサーでは、どう考えてもヲタクの方が先です」。そう話す吉田アナが、アニメ、漫画、アニソン、ゲームなどサブカル情報を扱う番組「ミューコミ」を担当し始めたのが06年の時。それから番組はしばらくのお休みを挟み「ミューコミプラス」として今も継続している。

 そんな吉田アナが今取り組んでいるのが、Vチューバー・一翔剣(いっしょう・けん)として放送と、ネットの世界での動画を同時配信する試みだ。毎晩、画面つきゴーグルを装着し、「一翔剣」というキャラクターを操り、動画を配信しながら、電波ではラジオを放送する。少し見ただけで普通にラジオで“しゃべる”よりも、はるかに手間がかかることが分かる。

 なぜわざわざそんなことを?吉田アナはまっすぐな目で「僕が聞いていたラジオって、『そんなことなんでやるんだよ』っていうことばっかりやっていた気がするんです。“魂”的な部分でよく分からないことをやってこそのラジオじゃないの?みたいな気がしてですね」と返してきた。確かにラジオ界では日比谷公園でわざわざジェンガを踊ったり、本当は存在しないアイドルをプロデュースしたりと数々の“なんでそんなことを?”な名物企画が生み出された。

 「今、時代が変わってVチューバーがはやっているっぽい。じゃあ、Vチューバーが番組をやったらどうだと」

 吉田アナは今はユーチューブを主戦場にしているが、その「向こう側の世界の方が広い」と、バーチャルな世界の拡大を見据えている。例えば「ミックスドリアリティ(MR=複合現実)」が広まったら、生身の人間よりも、バーチャルなキャラクターの方が浸透しやすいのではないか。「バーチャルって、ユーチューブの先にめちゃくちゃ広がった広大なフロンティアがあるんですよ。広大なフロンティアはあるけど、今はみんなが見ているのがユーチューブだからユーチューブでやっているだけなので」。先に見える景色を、一翔剣を通じて見ている。

 一翔剣のキャラデザイン上の衣装は、歌手の西川貴教のすすめで「岩下の新生姜色」の色、つまり淡いピンクにしている。これに反応した岩下食品からのオファーに応えて、吉田アナは栃木市にある「岩下の新生姜ミュージアム」まで一翔剣のパネル持参で訪問したこともある。こんなアナログなエピソードを聞き“なんでわざわざそんなことを…”と筆者も思ってしまったが、その縁から今もコラボの話が継続中。現実の世界でも、バーチャルでも全力で面白そうなことをやる。吉田アナのラジオ魂が燃え上がっている。

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