Abemaの哲学【1】和田アキ子誕生会を生配信「思わずのぞき込みたくなるものを」
藤田晋社長が注力する、インターネット動画配信サービス「AbemaTV」が4月11日で3周年を迎える。稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が出演した「72時間ホンネテレビ」や、亀田興毅、朝青龍らが出演した「勝ったら1000万円」シリーズ、そしてこの春にはあの和田アキ子の誕生会に潜入する特番も生配信する。既存メディアとの違いを印象づける企画をどう生み出し、今後、どのような「テレビ」に育てていこうとしているのか、谷口達彦制作局長に聞いた。以下、インタビュー全2回の【その1】。
この春の目玉企画の一つ「和田アキ子 史上初の誕生会生中継」が4月10日に生中継される。これまで多くのタレントの口からその存在は語られてきたが、一般では誰も見たことがない。ここにAbemaが踏み込んだ。谷口局長は「ただ過激というよりは、みんなが見てみたく、思わずのぞきこみたくなるものを」という考えから実現にこぎ着けた。
週1回、社内で藤田社長も交えて行われている「トンガリスト」という企画会議で、この案が浮上した。ここで大事にしているのは「見てみたい」というシンプルな思い。和田にAbemaTV出演経験がなかったため、まずは昨年12月に配信した「田中圭24時間テレビ」にゲスト出演をしてもらい、その後に、今回の企画をオファーという流れで快諾されたという。
ベースにあるのは、単に地上波テレビで放送できなくなった“過激なもの”を流すわけじゃない、という点にある。和田の誕生会にしても、芸能界の中では話題にはなっても、「当然、イリーガルなものではまったくない」(谷口局長)。ただ、地上波の編成上で重要になる“枠”などを考えると、放送は、さらに言うと生中継は現実的ではないとなる。「そういうことをやれるのが面白いのかな」と谷口局長は思いを込める。
ネット番組というと、多分に“過激な映像”を求められるのではないか、という議論もあるかもしれない。だが、Abemaとしては、「ネットユーザーがそういうことを好きなわけじゃ全然ないな、っていうのがある」と考えている。
その好例が所属事務所を退所したばかりの稲垣、草なぎ、香取が出演した17年11月の「72時間ホンネテレビ」だった。内容そのものは過激なことはなく、元SMAPメンバーでオートレーサーの森且行と対面したり、自分たちのこれまでや今後について語ったりというものだった。何より注目された人をタイムリーに取り扱ったことが大きな反響を呼んだ。
谷口局長はこの番組についても「次の一挙手一投足が日本中が注目していた人だと思うんですよね。活躍の舞台をマスメディアからインターネットに移していくであろうことも想定されたので。ということでしょうかね。次の彼らの素顔を見たくてオファーした」と振り返った。
見たいものを、見たいタイミングで届ける。2018年度には約208億円の先行投資という大きなコストをかけて挑んでいるAbemaTV事業は、ファン拡大のため哲学を持って奮闘している。
