魔夜峰央氏明かす「翔んで埼玉」原作漫画誕生秘話 「書いたことさえ忘れていた」

 映画公開の「翔んで埼玉」と新作本の「翔ばして!埼玉」を持つ魔夜峰央氏=撮影・園田高夫
 映画の一場面より。毒づく二階堂ふみ(左)とGACKT
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 公開から2週間あまりを迎えても、その勢いに陰りが見えない映画「翔んで埼玉」。ひたすら埼玉県をディスるという内容ながら、観客動員は100万人を超え、興行収入も15億円を突破した。原作となった同名の連載漫画を生んだのが、「パタリロ!」などで知られる漫画家・魔夜峰央氏(66)。このほどデイリースポーツの取材に応じ、歴史に残る作品が生まれた背景や“楽しみ方”を語った。

 「翔んで埼玉」の原作は、魔夜氏が1982年~83年に少女漫画雑誌の別冊で連載。東京中心の視点で、ひたすら埼玉を蔑視する表現を連発するという、いわば伝説の問題作だった。それが2015年に突然、ネット上で話題となり人気が爆発。魔夜氏は「なぜ今?と、私が一番驚いた。書いたことさえ忘れてた」と振り返った。

 実写映画化のオファーを受けた際も「本気ですか?」と回答したほど。だが、主演・麻実麗役にGACKT(45)を起用すると聞き、「それならいけるんじゃないか」と思ったという。その理由を「彼はキャラクターが非常に強い。だから巨大な虚構、ウソにピッタリはまる」と説明した。

 同作を描いた当時、埼玉県所沢市に住んでいた。「すぐそばに編集長と、もっと怖い編集部長も住んでいて、見張られている感じ。非常に息苦しい環境が4年間続いた」という。そうした鬱憤やストレスから発生した“虚無感”に近い感覚が、奇跡の作品を生み出した。「“魔が差した”というか、何も考えずに、何となく面白いかなと思って」。感情が薄いからこそ、振り切ったポップさが際だった。

 大ブレークにつながったのは、埼玉県内での意外なウケの良さ。魔夜氏も「埼玉の方はとにかく鷹揚で、心の広い方が多い。埼玉でなければ実現しなかった」と賞賛。一方で「早く脱出したかっただけでしたね」と、埼玉への“郷土愛”も持ち合わせていないという。

 過去に類を見ないストーリーだけに、魔夜氏も「お客さんにも『ここで笑うと馬鹿にしたことになるんじゃないか』といった遠慮があるみたい」と苦笑い。「あくまでもフィクションでファンタジー。気にせず大いに笑ってほしい」と呼びかけた。

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