津川雅彦さん秘話 映画への思いを力説「豆腐の8分の1か!?」と嘆いていた

 卓越した演技力で日本演劇界に君臨し、「マキノ雅彦」の名前で映画監督としても活躍した津川雅彦(つがわ・まさひこ=本名・加藤雅彦)さんが今月4日、心不全のため死去した。78歳。4月27日に妻で女優の朝丘雪路さん(享年82)を亡くしてからちょうど100日で、最愛の妻が待つ天国に旅立った。葬儀は近親者で済ませており、後日、朝丘さんと合同でのお別れの会を行う予定。

  ◇  ◇

 津川さんと最初にお会いしたのは日活撮影所だった。「狂った果実」でデビューされた後だったと思う。当時10代の津川さんに「頑張ってね」と、お声かけした記憶がある。

 兄の長門裕之さんとは仲良くさせていただいたが、津川さんとは話す機会がなく、お会いしても頭を下げるくらいだった。ところが、私が60歳で定年退職した92年、津川さんとお話をする機会に恵まれた。その時の熱弁が今も忘れられない。

 「日本で豆腐の年間売り上げをご存じですか?5000億円ですよ。なのに映画の興行収入は邦画と洋画を合わせても600億円。映画は豆腐の8分の1しかないんです!情けない」。そう嘆いた津川さんは「祖父の牧野省三は『映画は金主(スポンサー)を儲けさせないといけない』と言ったが、日本の映画会社は自分で映画を作らなくなった。これからの時代、スポンサーを集めて外国に通じる映画を作っていかないと」と力説した。

 じっくりお話しできたのはそれが最初で最後となった。映画人の魂を感じた。私より8歳も若い津川さん。ご冥福をお祈りします。(デイリースポーツOB・島久夫)

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