BRAHMAN・TOSHI-LOW語る(1)ニューアルバム「梵唄」

 4人組ロックバンド「BRAHMAN(ブラフマン)」が今年2月、5年ぶりのフルアルバム「梵唄-bonbai」をリリースした。パンクから出発したBRAHMAN、今作ではthe HIATUSの細美武士、SLANGのKO、ハナレグミ、東京スカパラダイスオーケストラのメンバーら多彩なゲストを迎え、さまざまなジャンルの音楽を鳴らしている。ボーカルのTOSHI-LOWが「梵唄」について語る、インタビュー(1)。

  ◇  ◇

 -「梵唄-bonbai-」の「梵」は、ブラフマン(梵天)の唄ということですよね。ストレートなタイトルを冠した理由は。

 「長い活動なさってるバンドが途中で-9枚目のアルバムぐらいで-自分たちの名前を(アルバムタイトルに)もう1回付けたりするのを見てて、頭おかしくなったんじゃないか?と思ってたりしたんですよ。自分がこのアルバムを作った瞬間に『あ、BRAHMANと付けたい』と思って。あ、来ちゃった、これがって。

 何でそういうふうになるかって思えば、要はまた始まる予感というか、もしかしたら自分たちってこれをやりたかったっていうか。1枚目に近い衝動に近いというか、1枚目だったらBRAHMANの『BRAHMAN』がハマるのが、6枚目にして『俺たちってこういうことやってるんだよね。それが自分たちであるよね』っていう、確認なのか、新しい認識なのかは分からないんですけど、そういう気持ちになったので、こういうどストレートなタイトルになりました」

 -楽曲の幅がとても広いのに、BRAHMANのアルバムということが感じ取れます。

 「たぶん自分たちがもともと持っているニセモノ感というか、ホンモノにはなれないっていうか、そもそもホンモノを目指してないというのもあったし、例えば音楽の王道のものとかロックの王道のものをやってもかなうわけないし、自分たちがその素質もないことは知っているというところから始まっていて。

 じゃあ自分たちなりにできることは何だろう。すごく激しいけどすごく切なくて、すごくあったかいけどすごく冷たくてみたいな、すごい矛盾をはらんでるような音楽のすっとんきょうさがすごく好きで。ワーッとなっているけどストンって落ちるとか静かになるとか、そういうのが自分たちの、ダイナミックな意味での楽曲の面白さだったし、それをストリートな肌触りに落とし込んだのがたぶん自分たちの音楽の一番初めに近かったんだと思うんですけど。

 だから自分たちの要素が全部あって。それを1曲だけ聴かれてしまうと、静かな曲だけ聴かれてしまうと静かなバンドなんだねって思われるのがイヤだったし、かといってただ単に激しいっていうのでもない。だから1曲の中でああでもないこうでもないって色んなもの入れ込んで、あとは誰も予想つかない奇をてらうようなことをしようしようと思ってたんですけど、もう何をやっても自分たちの形になってるんだと思うんですね、長い年月、一緒にいたことによって。変な話、ストレートなことをやっても自分たちの形になっちゃうから。これはもう真っすぐピュアにやればいいんだっていうことに気付いてしまって。フォークな曲でもロックな曲でも自分たちが真っすぐ投げれば、俺たちの形が違うから、他の人は変化球に見えてるし大丈夫だなって。それは俺たちがホンモノじゃないからだと思っています」

 -ホンモノである、ないって、意識するものなんですか。

 「ありますよね。例えば音楽に優れてるであるとか資質に優れてる人たちとか、そういう人たちは見てもいっぱいいたし。ただ、その人たちがやるものと感動するものはまた別だなと思ってもいたし。俺たちはすごく好きなんだと思います、音楽は。うん」

 -「梵唄」にはさまざまなゲストが参加しています。

 「4人で完結してるものはいっぱいあるので、4人でいれば逆に色んな楽器が入っても自分たちであるとも言えるし、むしろ4人じゃなくてもブラフマンと言えるんじゃないかなとも思っちゃう」

 -「梵唄」には阪神・淡路大震災と東日本大震災をきっかけに作られた楽曲(「満月の夕」と「ナミノウタゲ」)が入っていることをどうしても意識してしまいます。必然だったんでしょうか。

 「どのアルバムに入れるとかっていうよりかは、俺たち時代時代で切ってるんで、あんまりその意味を感じてるっていうことじゃなくて、俺たちの5年間はこういうことだったんだなっていう。文字通り写真とかのアルバムみたいなもんで」

      (続く)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス