大林宣彦監督 余命3カ月がんと闘い新作完成 肺にステージ4も「快調」

 昨年、肺がんで余命3カ月の宣告を受けながら新作「花筐/HANAGATAMI」(16日公開)を完成させた大林宣彦監督(79)に直撃インタビュー。がんとの向き合い方、自身の映画の根底に流れ続ける戦争の記憶、そしてすでに企画を進めている新作への思いなどを聞いた。

 余命宣告を受けたのは昨年の8月。「花筐/HANAGATAMI」のクランクイン前日だった。肺にステージ4のがんが見つかり「余命6カ月」と診断され、3日後の精密査では「余命3カ月」と言われた。「それでは映画を完成させられない」と撮影地の佐賀・唐津の医師に東京の医師を紹介してもらい、本格的な治療をスタートした。

 遺伝子検査の結果、効果があると判明した抗がん剤の「イレッサ」を経口で服用しながらの治療となった。「担当医で名医で、たまたま薬も体に合っていた。運がよかった」という。過去に腎臓を患い、通常の3分の1ほどしか機能していないが、悪影響を及ぼさないように薬の量を絶妙に調整しながら治療を続けた。

 大林監督は担当医を芸術家に例え「病気と年齢をアレンジしながらうまく薬を使ってくれるお医者さんなら生きていけるということです」と説明した。現在、肺にがん細胞はほとんどない状態にまで回復している。「これまでは血糖値が高くてインスリンを打ちながら生活してたんですが、がんで体重が13キロ落ちてその必要がなくなった。自覚症状だけでいえばこの20~30年で一番快調」と笑顔だった。

 闘病しながら作り上げた作品は「“反戦”ではなく“厭(えん)戦”映画」だという。「映画を企画した40年前にはなかった“戦前”の空気が今はあります。だからこそできた映画です。若い人にこの作品を見てそういう空気を感じ取ってもらいたいですね」と表情を引き締めた。さらに、次回作について18年の春にクランクインする予定であることも明かした。「ようやく広島をちゃんとやらなきゃいかんかなということです」と原爆を題材にした作品に取りかかることを明言した。

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