野際陽子さん逝く 81歳 アナウンサーから女優転身 幅広い役で存在感

 女優の野際陽子さんが13日午前8時5分、肺腺がんのため、都内の病院で死去していたことが15日、分かった。81歳。15日に近親者のみで葬儀を済ませた。喪主は長女で女優の真瀬樹里(42)。「送る会」は本人の意向で、開催されない。野際さんは2014年に早期の肺がんをわずらったが、翌年の再発を乗り越え、仕事に復帰。テレビ朝日系「やすらぎの郷」に出演中だった。5月初旬に体調を崩し入院したが、最後まで現役の女優だった。

 ベテラン女優がまた一人、旅立った。野際さんは13日午前8時5分、娘の真瀬や事務所スタッフに見守られ、静かに息を引き取った。

 立教大からNHKに入局し、アナウンサーとして活動後、26歳でフリーになり、翌年、女優に。68年にアクションドラマ「キイハンター」に出演し、共演した千葉真一(78)と73年に結婚した。94年に離婚しているが、関係者によれば、千葉は、野際さんの訃報を聞き、「俺は直接見るまで信じない!」と衝撃を受けていたという。

 92年の「ずっとあなたが好きだった」で、佐野史郎演じるマザコン・冬彦の母親を演じブームを巻き起こした。その後も「誰にも言えない」「ダブル・キッチン」などを好演、姑役が定番に。家庭人からキャリアウーマン、一風変わったキャラクターの役まで、幅広い役を演じられる女優として人気を博した。

 14年に肺がんが発見されたが、初期だったために回復。だが、15年に再発。抗がん剤や患部の切除により、仕事に復帰できるまでになっていた。

 今年2月2日放送のテレビ朝日系「徹子の部屋」にゲスト出演した際は、旧知の仲という女優・黒柳徹子(83)との会話が弾んだ。4月からは同局の「やすらぎの郷」に出演していたが、3月に行われた制作発表には主要人物で唯一欠席。収録中も体調は万全ではなく、共演者に体調の不安を訴えることもあったという。

 5月8日、がんに肺炎を併発して、都内の病院に入院した。今月13日に緊急入院が明らかになった際は、関係者が本紙の取材に「危篤状態ではないが、年齢も年齢だけに…」と病状が思わしくないことを明かしていた。

 「やすらぎ-」は、まだ出演シーンは残っていたが、台本を書き直して対応していた。脚本の倉本聰氏は、野際さんに演じて欲しいシーンがあったといい、戻って来た時のための台本も用意していたという。野際さんも、演じること、仕事に復帰することを望んでいたが、そのシーンは演じられぬまま、帰らぬ人になった。

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