熊本地震 追い打ちの大雨に被災者混乱
相次ぐ地震で被害の大きかった熊本、大分両県は21日、大荒れの天気となり、局地的に総雨量が100ミリ近くに達した。熊本県では午後3時現在、29万4446人に避難指示・勧告などが出された。一部の避難所は閉鎖される事態となり、南阿蘇村の不明者捜索は22日も見合わせることになった。政府は来週にも激甚災害に指定し、支援を本格化する方針だが、地震から1週間を迎えた被災地は終日混乱した。
大雨、洪水、暴風警報が出た南阿蘇村では、小中学校3カ所に設けた避難所のうち150人が身を寄せる1カ所を閉鎖。住民らは隣接する大津町の体育館などに移ったが、町内の企業の施設に行くよう促され、再び移動する「多重避難」を強いられた。体育館には既に避難者がおり、混乱の中、企業側が急きょ受け入れを決めたとみられる。
熊本市でも避難所の小学校でグラウンドの斜面が崩落する恐れがあるとして、被災者約400人が数キロ離れた体育館や武道場に移動。自衛隊は救援物資を新しい避難先に運び込んだ。
最多の犠牲者が出た益城町では21日から、ボランティアの受け入れが始まった。全域に避難勧告が出され、炊き出しは中止となった。町社会福祉協議会によると、志願者の中には活動できずに引き揚げた人もいた。
熊本県によると、21日午後3時現在で、南阿蘇村のほか、宇土市、阿蘇市、八代市などで避難指示があったほか、県内の広範囲に避難勧告が出された。大分県も由布市に避難勧告が出た。29万人の中には、20日以前に出された避難指示・勧告も含まれる。
地震の死者は48人で安否不明は2人。南阿蘇村では、自衛隊が24時間態勢で安否不明者の捜索活動をしていたが、大雨により、21日未明に中断した。
熊本市の大西一史市長は21日、避難者を受け入れる仮設住宅を市内に建設する考えを表明した。
