今年からＪＬＰＧＡツアーを予選から決勝まで独占配信しているＵ－ＮＥＸＴとデイリースポーツが注目の選手を取り上げる連載「推し活応援宣言」第３回は、実力派の小祝さくら（２７）＝ニトリ＝が登場。今季はここまで優勝はないものの安定した成績で常に存在感を示している。プレーに加え、誰もが度肝を抜かれるインスタグラムの投稿でファンの心をわしづかみしている。

　　◇　　◇

　「シュールなひとり遊び」に誰もが度肝を抜かれた。２０２３年３月。インスタグラムアカウント「ｓａｋｕｒａｋｏｉｗａｉ＿ｓｔａｆｆ＿ｏｆｆｉｃｉａｌ」で、２本の動画が公開された。「ピッチャー小祝」と題された１本目は、セットポジションでキャッチャーのサインを確認する姿から始まる。

　一度うなずいたのに首を振る謎のやりとりののちに、画角の外に向かって投球。しかし添えられた説明によればキャッチャーは不在で、自分で投げたボールを自分で拾いに走っていたという。

　「どうですか？」

　そう問いかけられたスタッフの反応は特になかったが、動画は２本目へ。自分で投げ上げたボールを、小さな棒で打とうと試みる姿に「バットがないので代わりに落ちていた枝で打ちます」と説明が加えられていた。

　ボールは前に飛ばず、足元に落ちたが、かまわず走り出す。公園の広場をダイヤモンドに見立てて、ゆっくりと一周する。概要欄には「ホームランを打ったようです」との説明が。スタッフによれば、直前に行われたＷＢＣの影響を強く受け、練習終了後に「公園に行きたい」と言い出したのだそうだ。

　この時点でツアー通算８勝。選手としての強さに加えて「いつも笑顔でおっとりとした色白の美人さん」というイメージの方が強かった。だが、専属マネジャーの石井美香さんは「そういう印象とはかなりギャップがありますよ」と笑う。

　「地アタマ、ゴルフ脳はいいですけど、でも一方で天然で、本当に面白いキャラクター。それを知ってもらったほうが、より応援してもらえる選手になると思いました」

　小祝の素顔を伝える投稿は、フォロワーだけでなく、一般のスポーツファンからも反響を得ている。そのキャラを買ってのメディア出演も増え、いまやゴルフファンだけでなく幅広い層に認知される人気アスリートになった。

　もちろん、面白いだけではない。今季は開幕戦のダイキン・オーキッド・レディースで予選落ちしたものの、その後の１５試合すべてで２０位以内に。トップ１０回数「１０」で全選手中１位に立つなど、ずばぬけた安定感をみせている。国内メジャー制覇を宿願と掲げる一方で、どの試合で勝ちたいかと問われると「わたしはすべての試合で優勝を目指していますから」とキッパリ。あらゆる試合で、ファンの期待に応えたい－。そんな誰よりも強いプロ意識から、休みなくツアー戦に出場を続けてもいる。

　インスタの投稿がバズっている。そう聞かされても「へぇー、そうなんですね」と興味なさげな反応をする。内心では喜んでいるのか。あるいは、マネジャーの意図をくんでの「黙認」なのか－。真意はわからないが、いずれにしても今の国内女子ツアーの隆盛を、小祝が圧倒的な強さとキャラクターで支えていることだけは間違いがない。

　【インスタアラカルト】

　◆マンキンの「ソーラン節」

　２４年８月１２日に投稿。岩井姉妹、竹田麗央と一緒に全力でソーラン節を踊る動画が大反響。「私たちの世代はみんな踊れます、と世代間ギャップを強調してくるのでやってもらいました」（石井さん）

　◆発音のクセが強い食レポ

　２４年１１月４日に投稿。スポンサーの明治が発売したミルクコーヒーを食レポしたものの、そのおいしさ以上に「コーヒー」の独特すぎる発音が話題に。

　◆「焼き肉奉行」独自の対策

　２３年５月２１日、２５年４月２８日に投稿。煙が目にしみないように水泳用のゴーグルを着用してまで、バーベキューで率先して肉を焼く姿に反響が。ゴーグルの上下を間違いがち、との説も。

　◆まさかの「捕球Ｇ」

　２４年５月１９日に投稿。試合のウエア姿のまま、竹田とともに野球のフライ捕球を練習する姿が６０万回近く再生された。とにかく捕れないが、とにかく楽しそうと話題に。

　◆人気のユニット多数

　岩井姉妹と３人でウクレレを弾き語るユニットは「小岩井」として人気に。ゴルゴ松本直伝の人文字「祝」を山下美夢有とつくった動画や、勝みなみとダンスに挑戦する動画も視聴回数を重ねている。

　♥小祝さくら（こいわい・さくら）１９９８年４月１５日生まれ、２７歳。札幌市出身。８歳の時、母がレッスンを受け始めたのを見てゴルフを始める。中学入学前にはプロへの道を決め、高校は通信制の飛鳥未来高に。１４年の北海道ジュニア＆北海道女子アマなどで優勝。１７年にプロテスト合格。ＪＬＰＧＡツアー優勝１１回。１５８センチ、５８キロ。ニトリ所属。