西郷真央 大快挙!米ツアー初優勝がメジャー初制覇 「信じられない」5人のプレーオフ制した 日本勢5人目&全5大会制覇
「米女子ゴルフ・シェブロン選手権・最終日」(27日、カールトンウッズ・クラブ=パー72)
西郷真央(23)=島津製作所=が、通算7アンダーで並んだ5人のプレーオフを制してメジャー初優勝を果たした。トップから出て3バーディー、5ボギーの74とスコアを落としたものの、プレーオフ1ホール目でただ一人バーディーを決めた。米ツアーも初制覇で賞金120万ドル(約1億7280万円)を獲得。日本勢はこの大会の勝利も初で、これで女子メジャー5大会全てで勝った。メジャー制覇は昨年のエビアン選手権の古江彩佳以来で5人目(6度目)となった。
世界にその名をとどろかせた23歳のヒロインは、込み上げるものを抑えられなかった。全身が震えるような緊張感の中、決めた1メートルのウイニングパット。西郷は思わず顔を手で覆った。
3年前の日本ツアー初優勝時に「まだちょっと早い」と我慢した喜びの涙が思わず頬を伝った。米ツアー初優勝が、メジャーV。5人によるプレーオフを制し「夢にまで見たメジャー優勝なので信じられない。本当にうれしい」と喜んだ。
いきなりボギーでスタートした。「後半になるにつれて緊張した」と、10~15番の3ボギーで一度は優勝争いから後退。だが「最後まで諦めない」と粘った。先に回っていた首位のアリヤ(タイ)が18番でボギーとして1打差に縮まった。最終組の西郷は「今週一番納得のストロークができた」とこのホールでラインを読み切り、3メートルのバーディーパットを沈めて追い付いた。
「これを決めないとまたこういう機会になった時に勝てないと思った。しっかり決め切れたのがプレーオフでの自信につながった」。プレーオフでもグリーン奥のラフから巧みに第3打を寄せるなど勝負強かった。
この大会の優勝者の恒例になっている18番グリーン脇の池に、マネジャーらと飛び込んだ。ずぶぬれになった顔に涙はない。“歓喜のシャワー”を浴び「深くておぼれるかと思ったが、飛び込むのが目標だったので、うれしかった」と笑みがこぼれた。
昨季から米ツアーを主戦場とし、武器は精密機械のようなショット。身長158センチでドライバーの飛距離はさほどではないが、正確なアイアンを持ち味とする。ゴルフ以外に興味を示さず日々長時間、黙々と練習した成果を土壇場で見せた。
喜びもつかの間、次の勝利を求めて来週も大会に出場する。「勝つ経験が今後の自信につながる。まだメジャーは四つ残っている。世界ランキングもいずれ1位を目指して頑張りたい」。メジャーを制しても、揺るがない向上心。頂点を目指し続ける西郷の戦いは、まだ始まったばかりだ。
◆西郷真央(さいごう・まお)2001年10月8日、千葉県船橋市出身。父の影響で5歳からゴルフを始めた。ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー1期生。19年の千葉・麗沢高3年時に日本女子アマチュア選手権を制覇。同11月にプロテストに合格した。22年のダイキン・オーキッド・レディースでツアー初優勝し、日本ツアーは通算6勝。昨季から米ツアーを主戦場にし、7度のトップ10入りで新人賞に輝いた。正確なショットが武器。158センチ、57キロ。





