植竹希望 感涙「やっと黄金世代10人目に」 史上最長2時間のPO制しツアー初V
「女子ゴルフ・KKT杯バンテリン・レディース・最終日」(17日、熊本空港CC=パー72)
1打差2位で出た植竹希望(23)=サーフビバレッジ=が4バーディー、3ボギーの71で回り、通算8アンダーで4人が並んだプレーオフを制した。6ホール、ツアー史上最長2時間の激闘を勝ち切り、1998年度生まれの黄金世代10人目となるツアー初優勝を飾った。吉田優利、小倉彩愛、西村優菜が2位で、小祝さくらが1打差の5位。地元で自身初の2週連続優勝がかかっていた上田桃子は20位だった。
悲願の初勝利はツアー史上に残る激闘の末に手に入れた。2メートル弱のウイニングパットを沈めた植竹は花粉対策で着用していたマスクを素早く外し、感無量の表情で両手を掲げた。「マスクを取ってプレーしたかったけど、くしゃみが止まらなかった。優勝した直後の顔は記念に撮っておいてほしかったので」と照れながら歓喜の瞬間を振り返った。
18番パー5での4人によるプレーオフは2時間に及んだ。バーディーを奪えなかった西村が1ホール目、小倉は2ホール目で脱落。吉田との一騎打ちとなった3ホール目以降はともに譲らなかった。6ホール目でパーの吉田に対し、植竹がバーディーパットを決め、熱戦にケリをつけた。
「最高に気持ち良かった。本当にうれしいの一言に尽きます。やっと黄金世代10人目になれた」。同世代の小祝、大里桃子、浅井咲希から祝福されると熱いものがこみ上げた。ギャラリースタンドでハンカチを目元に当てる母親の姿を見ると涙があふれ出た。
やっと一つ目の恩返しができた。ジュニア時代から有望選手として注目されていたが、高2の春に両親が離婚すると家庭の経済事情が苦しくなった。それでも「絶対に稼げるから大丈夫。最後まで好きなゴルフを続けなさい」と背中を押してくれたのが母・和美さん(51)だった。
17年プロテストに合格後はマネジャー的存在としてツアーに帯同する。常にゴルフに集中できる環境を整え、支え続けてくれている。「けんかもしたし、反抗したこともたくさんあった。それでもずっと黙って応援してくれた。一番尊敬する人です」と言葉を詰まらせながら感謝の思いを口にした。
自身4度目の最終日最終組でようやく壁を乗り越えた。次の目標は明確だ。「1勝で終わったと言われるのが一番悔しい。早めに2勝目を挙げて親に恩返しをしたい」。海外挑戦という近い将来の夢もある。苦労をかけてきた母、プロテスト合格を目指す2歳下の妹のためにも、殻を破った大器がこれからどんどん勝利を積み重ねていく。
◆植竹希望(うえたけ・のぞみ)1998年7月29日、東京都葛飾区出身。4歳からゴルフを始め、ツアー初出場した奥戸中3年時のスタジオアリス女子で最終日最終組を経験も19位。日出高卒業後の2017年、プロテストに一発合格。20年下部ツアーで1勝。20-21年統合シーズン賞金ランキング33位で今季シードを初獲得した。スポーツ歴は水泳。プロ野球ヤクルトの大ファン。170センチ、61キロ。足のサイズ27センチ。血液型O。家族は母親と妹。





