プロキャディー野村拓矢 海外メジャー2連戦に気合「しっかり選手をサポートしたい」

 男子ゴルフの海外メジャー第3戦、全米オープン(米国カリフォルニア州)が17日、開幕する。日本人は松山英樹ら4選手が参戦。浅地洋佑(28)の帯同キャディーとしてバッグを担ぐのが広島市在住のプロキャディー、野村拓矢(27)だ。7月には稲森佑貴(26)に帯同して全英オープンでも担ぐことが決まっており、メジャー2連戦に「夢のよう。しっかり選手をサポートしたい」と胸を躍らせる。

  ◇  ◇

 プロキャディーになって6年目。「海外メジャーに出場する選手のバッグを担げるようになりたい」という夢がかなった。5月に茨城県ザ・ロイヤルGCで行われた全米オープン日本地区最終予選。浅地からキャディーを依頼された野村は1日36ホールの長丁場の戦いをサポート。上位2人に与えられる本戦出場権を獲得した。

 「浅地プロは僕がキャディーになりたての頃に半年間、バッグを担がせてもらった選手。彼のおかげで今の自分がある。こういう形で一緒に海外メジャーに行けることになって本当にうれしい」

 今月11日に日本を発ち、開催コースのトーリーパインズGCに入った。「僕のキャディー人生の中で間違いなく最も難しいセッティング。風、グリーンの形状、ピンポジションの位置、グリーン周りの状況など、浅地プロから何を聞かれてもすぐに答えられるように細かくチェックしたい」と、練習ラウンド以外の時も一人でコース内を歩き、情報収集に努めた。「予選突破して少しでも上位に行けるように全力で支えたい」と意気込む。

 全米オープンでの戦いを終えると、7月には全英オープン(イングランド・ロイヤルセントジョージズGC)が待ち受ける。昨年10月の日本オープンで稲森のキャディーを務めて優勝し、全英切符をつかんだ。「稲森プロは曲がらない正確なショットが武器。飛距離はなくても世界の舞台で通用することを一緒に証明したい」。海から吹き付ける強い風、硬いフェアウエー、点在するポットバンカー…。キャディーの腕の見せどころでもある。

 広島市出身で、小学6年の時にゴルフを始めた。広陵高、徳山大でもゴルフ部に所属。プロを目指した時期もあったが、「自分の力では難しい」と悟り、大学を卒業した2016年からプロキャディーとして活動を開始。韓国人選手のS・H・キムの専属キャディーとして17年には韓国ツアー2勝、賞金王獲得をサポートした。男子選手のキャディーをメインにしているが、女子選手からも依頼があればバッグを担ぎ、渋野日向子のキャディーを務めたこともある。

 今季は浅地、稲森のほかに藤田寛之、宮本勝昌のベテラン2人のバッグも担ぐ。トッププロから次々と依頼が来るのもキャディーとしての実力が認められている証拠だが、本人は「経験の少ない自分に声をかけてくれるのは感謝しかない。少しでも選手が気持ちよくプレーできるように、コース内だけでなく、それ以外のところでも細かい気遣いができれば。なんとか期待に応えたい」と必死だ。

 真面目な性格と的確な仕事ぶりが評判となり、地元企業など5社からも金銭面のスポンサードを受けている。試合がない時は広島市の「ゴルフ工房 オキコバランス広島店」で接客やグリップ交換を担当しており、お客さんの「頑張れ」「テレビ見たよ」という声も励みになっている。

 いよいよ開幕する全米オープン。「世界のトップ選手がどんなクラブ選択をして、どんなマネジメントをするのかもすごく楽しみ。しっかりと目に焼き付けて、キャディーとしての引き出しを増やしたい」。野村にとっても成長の糧を得るための舞台となる。(デイリースポーツ・工藤直樹) 

 ◆野村拓矢(のむら・たくや)1994年3月20日生まれ。広島市出身。広陵高、徳山大を経てプロキャディーの道へ。通算3勝(韓国ツアー2勝、日本ツアー1勝)。家族は妻と1女。

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