短縮のスタンレー 稲見萌寧がプレーオフ制し涙腺決壊 2020年女子ゴルフを振り返る

 昨年の女子ゴルフツアー第8戦、スタンレーレディース(10月9~11日、静岡・東名CC=パー72)は1999年度生まれの稲見萌寧(21)=都築電気=が優勝を果たした。試合は台風の影響で2日目の競技が中止になり、36ホールに短縮されて行われた。最終日は稲見が通算5アンダーで黄金世代の浅井咲希、ペ・ソンウ(韓国)と首位に並び、プレーオフの1ホール目でバーディーを奪って戴冠。19年のセンチュリー21レディースに続く通算2勝目を挙げた。

 勝負強さが光った。プレーオフの1ホール目、稲見は4メートルのウイニングパットを沈め、右の拳を2度強く振り下ろした。正規のラウンドでスタート時にあった首位との1打差を追いつき、初体験のプレーオフを見事に制した。駆け寄ってきた親友の高橋彩華から祝福を受けると、たまらず涙腺が決壊。「最初はうれしいだけだったんですけど、いつも一緒に練習している彩華ちゃんが来てくれて、うれしくて泣いてしまいました」と声を震わせた。

 最終日は憧れのタイガー・ウッズを意識した赤と黒のウエアで臨んだ。ウッズばりの猛チャージをかけたのはバックナイン。15番で5メートルのバーディーパットを沈め「そこから流れがよくなった」と手ごたえをつかみ、17番で8メートルを沈めて首位と1打差に肉薄。最終18番パー5は「3打目を入れる」と強い決意で臨み、第3打を70センチにつけてバーディーを奪い、プレーオフに持ち込んだ。

 ゴルフの技術だけでなくメンタル面の強さも合わせ持っている。「プレーオフは初めてだったけど、自分がどれだけ強い気持ちでいられるか試されるので、楽しかったし、自分は究極に追い込まれたら強いという自信がある」と胸を張った。

 昨年はこの大会前の8月に全英女子オープン初出場を果たしたが、通算14オーバー123位であえなく予選落ち。以後、国内ツアー3試合を休んだ焦りもあってか、気持ちが空回りする状態に陥ったという。「それで悔しい思いで練習をした。それが今回実になったと思う」。元々1日10時間もボールを打ち続ける“練習の虫”。スランプを猛練習で抜け出し、この日の勝利につなげた。

 競技が36ホールに短縮されたため、賞金ランクに加算されたのは満額の75%に当たる1350万円だったが、この時点でランク10位に躍進。1学年上の黄金世代、1学年下のプラチナ世代にはさまれた“はざま世代”を引っ張るエースの風格も漂ってきた。「今年も1勝できたけど、そこにとどまらないで、これからも毎週頑張って上位を目指したい」。優勝インタビューではこう決意を語った。今年は通算3勝目だけでなく、複数回優勝、さらに賞金女王争いが期待される。

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