女子ゴルフ・田辺ひかり、広島・鈴木誠の金言支えに活躍期す「自分の可能性捨てたくない」

 女子ゴルフの田辺ひかり(23)=伊藤園=がレギュラーツアーでの活躍を誓っている。

 広島国際学院高を卒業し、16年のプロテストに一発合格したが、これまでは下部のステップアップツアーが主戦場。それでも昨季は8度のトップ10入りを果たし、賞金ランクも自己最高の11位。「自分の中では成長を感じた1年だった」と満足感があったという。

 しかし、今年に入り、大きな刺激を受ける出来事あった。コロナ禍でステイホームしている時、広島・鈴木誠のインタビュー記事が掲載された雑誌を読んだ。その中で「せっかくプロの世界に入れたのに、これで努力しなかったらもったいなさ過ぎる。自分で自分をつぶしたくない。あのとき練習しておけば良かったって思いたくないから、一生懸命やっている」という言葉に目が覚めた。

 「私も自分の頑張り次第で、どんどん上にいけるし、優勝のチャンスもあるのに、どこか頑張り切れない自分がいた。でも、鈴木選手の言葉を読んで、今までなんてもったいない時間を過ごしてきたんだろうって思ったんです。私より若い選手も増えてきて、みんなすぐに賞金シードを取ったり優勝している。私も自分の可能性を捨てたくない。悔いを残さないように、やれることはすべてやろうと決めたんです」

 殻を破るために、同郷の先輩で、ツアー通算7勝の佐伯三貴(35)に弟子入りし、指導を受けることも決めた。「三貴さんはかっこよくて、私にとってはあこがれの先輩。ツアーで何勝もされている方なので、これまでの自分にはなかったものを教われたらと思っています」。特に佐伯のショットの音が好きだという。「三貴さんは同じ音を何度も出せるんです。でも、私はヘッドの入りが厚かったり、薄かったりして同じ音が出ない。私も三貴さんのようにショットで魅せられる選手になりたいです」。

 佐伯は田辺について「ショットはまだ粗削りな部分はあるけど、とてもいいものを持っているし、ガッツもある。練習法をアドバイスしたら、こちらがストップするまでやり続ける粘り強さも持っている」と語り、「すごく楽しみ。化ける可能性は十分にあります」と期待をかける。

 課題はチャンスホールであるパー5で、いかにバーディーを多く取れるか。昨季の田辺の下部ツアーでのデータを見ると、パー3の平均スコアはランク7位(3・01)、パー4は同2位(4・03)ながら、パー5は同31位(4・89)と大きく下がる。「パー5で伸ばすためには、やはり残り100ヤードからグリーン周りにかけてのアプローチをレベルアップしていくことが大事。パターも含めたショートゲームが強化できれば、レギュラーツアーでも予選落ちは限りなく減らせると思います」。佐伯からも重点的にアプローチの教えを請うている。

 練習の成果が見えたのは今季ツアー初戦のアース・モンダミン・カップ(6月)だった。4日間大会の初日、田辺は116位と大きく出遅れながら、2日目から尻上がりに順位を上げ、レギュラーツアーでは自己最高となる17位でフィニッシュ。賞金213万6000円を獲得した。

 今季はQTランク46位とあって、レギュラーツアーへの出場は限られるものの、コロナの影響で20年と21年が1シーズンに統合されることになった。「シーズンが長い分、私にもチャンスはあると思っています。もちろん優勝もしたいですが、まずは賞金シードを取ることを目標にやっていきたい」。27日からのニトリレディース(北海道・小樽CC)にも出場予定で、さらなる賞金加算を狙う。

(デイリースポーツ・工藤直樹) 

 田辺ひかり(たなべ・ひかり) 1997年4月13日生まれ。福山市出身。伊藤園所属。8歳からゴルフを始める。広島国際学院高時代は中国ジュニア、広島県高校総体、広島県オープンなどで優勝。同校では男子プロの関藤直熙と同級生で、1学年下に金谷拓実(東北福祉大)がいた。165センチ、55キロ。

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