【綾子の視線】タイガー17番のセカンドショットは鳥肌もの

 「米男子ゴルフ・マスターズ・最終日」(14日、オーガスタ・ナショナルGC=パー72)

 2位から出たタイガー・ウッズ(43)=米国=が、自身初の逆転で11年ぶりにメジャー制覇を果たした。マスターズは14年ぶり5勝目。メジャー通算15勝、米ツアー通算81勝はともに歴代2位。近年は腰の故障や不倫スキャンダルなど私生活のトラブルで低迷していた元世界ランキング1位が、世界最高の舞台から力強く復活を告げた。選手の心理や技術、勝負の流れなどを、デイリースポーツ評論家の岡本綾子氏(68)が、自身の視線でお伝えする。

  ◇  ◇

 やっぱりタイガーは強い、と言うより他に何と言えばいいのか、言葉が見当たりません。11年ぶりにメジャーで勝った、それがマスターズだっていうんですから。もうただただ、すごいですよ。

 強さに関しては文句のつけようがありません。バーディーは取れませんでしたが、グリーンにピタリと止めた17番のセカンドショットもすごかった。どれだけスピンを殺して打っていることか。あそこはテレビ画面で見るより左足上がりのきついライなんです。ボールを操るショットは鳥肌ものでしたね。

 これで米ツアー81勝目ですか。こういう選手がサム・スニードさんの記録を塗り替えるんでしょうね。私は以前にサム・スニードさんと一緒にラウンドしたことがあるのですが、とても優しくて、横文字の「ジェントルマン」が似合う人でした。

 タイガーはこの10年、手術を何回もして、プライベートでもいろいろとあった。いろんなことが重なっての復活劇。すごい人生だなって、思いながら観ていました。18番のグリーンサイドに母親がいましたが、世間にたたかれる息子の不運さを呪った時期もあったと思います。でもずっと信じて、そして強い息子が帰ってきた。母親の強さもまた、タイガーを復活に導いた要因の一つなのでしょう。

 テレビ解説をしていた中嶋常幸プロが「ここに打っておけばいい」「ここでバーディーを取れば勝てる」などとタイガー優勝へのシミュレーションを語っていたのも面白かったですね。多くの選手を見てきて、各ホールの難しさも知っているから、勝つ人の流れを私たち視聴者に教えてくれる。中嶋プロもすごいなって、感心して解説を聴いていました。

 一方の日本勢ですが、松山君はやはりパットが駄目でしたね。パットが入らないからショットもぶれていく。我慢仕切れず、この展開を作ってしまった。でもショットで見せ場を作れる選手ですから、今後のメジャー大会に期待したいと思います。何かのタイミングでポン、ポンと上位に上がってきますよ。小平君は2年続けてマスターズに出られたことを、もっとヨシッと思っていい。自力で出場権を得ているわけですからね。アマの金谷君は最終日に崩れましたが、オーガスタで4日間戦うのはきつかったのでしょう。でも、ぜいたくなステージを経験したのですから「目指せ松山」「追い越せ松山」で頑張ってもらいたい。

 今年のマスターズは本当に面白かった。最終日はタイガーを主役に、役者がそろって優勝争いに入ってきたのですから。女子にも早くこういう時代が来ないかしら。世界各国から強い選手が集まってきて、そこに日本人選手もいてね。そういう大会を観てみたいなと、心から思いました。

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