ゴルフ五輪代表選考会の開催を期待

 ゴルフがリオ五輪で112年ぶりに正式競技に復帰する。各国の代表選手は7月11日時点の世界ランクで自動的に決まる。世界15位以内に入るか、各国の上位2人。日本は現時点で男子の1番手は松山英樹、2番手は片山晋呉。女子は1番手が大山志保、2番手が宮里美香となっている。

 この選考方法は2014年に国際ゴルフ連盟(IGF)が発表したもので、議論の余地さえないといえるが、記者個人としては、日本代表選考会を開催できたらよかったと思う。もちろん、今年のリオ大会に関しては不可能で、20年東京大会以降の再考を期待したい。

 日本のゴルフ界は五輪競技復帰を、競技人口減少傾向に歯止めをかけ、一気に増加に転じる切り札として期待している。五輪本番で松山が活躍すれば、それだけでもかなりの効果があるだろうが、仮に五輪までに国内の代表選考会が開催されれば、注目度は大幅にアップするはずだ。

 競技日程的に開催が困難なことは承知している。例えば今年の男子の場合、7月14日から全英オープンが始まり、2週後の7月28日から全米プロゴルフ選手権。さらに2週間後の8月11日に五輪の男子ゴルフが開幕する。このような過密日程に加えて代表選考会を行うというのは、極めて難しいことではあるが(海外組には特に)、不可能ではないと思う。

 記者は1990年前後に五輪担当を長く務めたが、代表選考会ほど面白いものはなかった。例えば、88年ソウル五輪男子マラソンの代表選考では、けがのため代表選考レースの福岡国際を回避した瀬古稔彦に対し、中山竹通が「はってでも出てこい」と発言したとされ、大いに盛り上がった。

 また、1992年バルセロナ五輪女子マラソンの選考では有森裕子の選出が有力だったが、代表決定前に同じく代表候補の松野明美が地元・熊本で記者会見し、日本陸連に対し「私を選んでください」と前代未聞のアピールをし、翌日のスポーツ紙の1面をにぎわせた。

 ゴルフでこれらと同じようなことが起こるとは限らないが、4年に1度、一発勝負という極限の選考方法が、悲喜こもごものドラマを生み、だからこそ絶大な注目浴びてきたのが、五輪代表選考会。4年に1度きりしかない五輪にかけている陸上、柔道、水泳、レスリングの選手たちと、五輪以上に大きな大会としてメジャー大会があるゴルフ選手とは代表選考会への思い入れが違うことを差し引いても、ゴルフの日本代表選考会が開催されるとなれば、胸がワクワクするのは記者だけではないだろう。

 今年の年明けの渡米前に石川遼もリオ五輪への前向きな気持ちを言葉にした。

 「オリンピックはゴルフファンのみならず、ほかのスポーツファン、さらに普段はスポーツ観戦をしない人も見る。自分としてはモチベーションを高く、そこを目指していければ」

 今は松山が有力だが、石川の逆転代表入りもあるかも-。仮に選考会が開催されれば、そんなハラハラドキドキする一発勝負の状況が生まれるかもしれない。そして敗者が勝者に日の丸を託せば、五輪本番でゴルフへの注目度はいやが上にも高まる。(デイリースポーツ・松本一之)

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