女子ゴルフツアーにスポンサーがつく理由

 来季の男子、女子のゴルフツアーの日程が発表された。女子は今年から1試合増えて37試合が実施される。3月の開幕戦、ダイキンオーキッドレディースから、11月最終週のLPGAリコー杯まで、試合のないのはわずか2週。びっしりとスケジュールが詰まっている。賞金総額も過去最高だった昨年を上回り、32億5000万円に達した。

 下部ツアーのステップアップツアーも2試合増えて12試合に、シニアのレジェンドツアーも2試合増えて4試合が実施される。

 一方、男子はパナソニックオープンが打ち切られ、国内試合が過去最少の22試合になった。3月に行われるワンアジアツアーとの共催試合を2試合加えて24試合としたが、これも07、09年と並んで過去最少の試合数だ。冠スポンサーも2社が撤退。春と秋に試合が集中しており、夏場には7週間の空き週も発生した。下部のチャレンジツアーも15試合から9試合へ減少。女子とは対照的に厳しい状況に立たされている。

 女子ツアーに新規スポンサーがつく、あるいは既存のスポンサーが離れない理由の一つに、大会前日に開催される「プロアマ戦」が挙げられる。プロアマ戦はスポンサーにとっては取引先のお客様(ゲスト)を接待する貴重な場。ゲストは男性、しかも年配の人が多いので、男子プロよりも若い女子プロと回る方が喜ばれる。飛距離もそれほど変わらないので一緒にゴルフをしていても楽しいし、技術面でも参考になるところが多いのだ。

 また、経費の面でも大きな差がある。男子はすべて4日間大会なのに対して、女子は基本的には3日間大会が多い。しかも、賞金総額も男子と女子では倍近い金額となる。もろもろの経費を含めると1大会当たり1億円以上の違いが出てくるといわれており、企業にとっては女子の試合の方が主催しやすい。

 男子ツアーを管轄する日本ゴルフツアー機構(JGTO)も手をこまねいているわけではない。選手に対してプロアマ戦でのゲストへの対応を記したマニュアルを配布したり、スポンサーがプロアマ戦に出る男子プロを指名できるように規定を変更するなど、プロアマ戦の価値を女子に負けないものに高めようと努力はしている。

 今年から池田勇太が選手会長に就任し、試合の合間に自らスポンサー企業へ足を運んであいさつ回りを行うなど試合増へ奮闘を重ねてきた。今夏にはスポンサーを集めた懇親コンペも開催。選手の間でもプロアマ戦に対する意識は変わってきているが、スポンサー離れに歯止めをかけられないのが現状だ。

 今後は、これまで以上に企業が大会開催へ手を上げやすい環境作りを進めていくことが急がれる。賞金総額についての見直しも必要で、関西オープン(優勝賞金1200万円)のような女子ツアー並みの大会も積極的に受け入れていきたい。選手の取り分は少なくなるが、それでも働き場所がなくなるよりはマシだろう。

 ギャラリーあってのツアーでもある。試合会場では選手が積極的にサインや写真撮影に応じてギャラリーとの垣根を低くすることも大切だ。「プレーで魅せる」ことはもちろん必要なことだが、高いお金を払って見に来てくれているギャラリーやスポンサーへのサービス心、「お・も・て・な・し」の姿勢も忘れてはならない。

 アマチュアには到底マネできない飛距離やグリーン上での強烈なバックスピン、グリーン周りからピンへピタリと寄せるテクニックなど、男子ツアーには女子ツアーでは絶対に見られない、すごいプレーがたくさんある。石川遼、松山英樹が米ツアー参戦という逆風が吹く中、小平智や川村昌弘といった生きのいい若手も出てきている。いまが踏ん張りどころ。男子ツアーの底力を見せてもらいたい。

(デイリースポーツ・工藤直樹)

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