無名の竹谷が初首位 ノーボギーで浮上
「日本ツアー選手権・森ビル杯・第2日」(20日、宍戸ヒルズCC=パー72)
プロ9年目の竹谷佳孝(34)=エー・エム・エス=が7バーディー、ボギーなしのベストスコア65を出し、通算10アンダーで、張棟圭(韓国)とともに首位に浮上した。2打差の3位にT・クロンパ(タイ)がつけた。嘉数光倫(かかず・てるみち)(24)=エナジック=が10番パー5でアルバトロスを記録したが、通算4オーバーで予選落ちした。
まさに魔法のつえだった。竹谷が打ったパットは面白いようにカップに吸い込まれる。スタートの1番で下り2・5メートルを流し込むと、3番1メートル、5、7番5メートル、9番1・5メートルを入れてバーディー。前半はわずか10パットで、トータルでも自己最少の23パットだった。
後半も2バーディーを加え、ツアー屈指の難コースを相手にボギーなしの65をマーク。一気に首位に浮上し「前半はグリーンに乗ったら入って、外れたらパーを拾ってという感じで、本当にパットが入りました」と、笑顔で自画自賛した。
苦労人が初めて脚光を浴びた。山口県の宇部鴻城高では野球部主将だったが、2年生の夏に突然の腰痛で野球の道を断念。1年半のリハビリ後に父・亜洋(つぐひろ)さん(70)からゴルフ練習場に誘われたのをきっかけにゴルフを始めた。
卒業後はゴルフ専門学校で4年間基礎を学び、06年にプロ転向。今年プロ9年目も過去、賞金シードはなく昨年下部ツアーで実績を残し、今季ツアー前半戦の出場権をつかんだ。そしてこの日、ツアー初めての首位‐。
「野球では自分の体形では通用しないので、ゴルフをやってよかった」。パット・イズ・マネー。グリーン上の独演会を続ければ、ツアー初Vに手が届く。