ジャパンよありがとう 南アに力尽き4強ならずも感動 リーチ主将「誇りに思う」

 「ラグビーW杯・準々決勝、日本3-26南アフリカ」(20日、味の素スタジアム)

 桜の勇者たちの戦いが終わった。初の準々決勝進出を果たした日本は、優勝候補の南アフリカに3-26で敗れた。主将でフランカーのリーチ・マイケル(31)=東芝=を中心に奮闘し前半は3-5。後半は相手の堅い防御を崩せず、逆に失点を重ねた。それでも最後まで闘志あふれるプレーに、日本中から熱い声援が送られた。W杯4強の夢は4年後のフランス大会でかなえる。

 勝ちたかった。もっと戦いたかった。「満足感はない。このチームでキャプテンができて、誇りに思う。選手一人一人を誇りに思う」。リーチ主将は胸を張って話した。長い戦いは、一つの終わりを告げた。

 「相手が強過ぎた感じではなく、相手が強みを100%出し、それに対応できなかった」。認めざるを得ない敗戦だった。熱い5試合を戦い抜いた。まぎれもなく、日本中に熱いムーブメントを巻き起こした。

 15年大会で主将を務めた。「もうキャプテンはやりたくない」というほどの重責だった。一時期、代表を離れ、17年6月に復帰。再び重責を任された。「キャプテンは嫌じゃない」。成長したリーチがいた。

 標ぼうする「ONE TEAM」。チームを1つにまとめてきた。「このチームはダイバーシティ。潜在意識を高めることが大事」。7カ国にルーツを持つ選手が名を連ねる。日本代表としての魂を、意識の深い部分で持つよう求めてきた。

 「キッズクリニックだったり、病院に行ったり、日本の歴史を学んだり。勉強すれば、潜在意識を強く持てるようになる」。小学校や障害者施設を訪問。日本ラグビー史、日本史を講義し、俳句を学ぶ機会も設けて日本の魂を仲間に注入した。

 札幌山の手高の佐藤幹夫監督は「最初見た時は細くてかわいい顔をしていて。大丈夫かなって思った」と初対面を振り返る。その印象はすぐに変わる。最初の公式戦でトンガ人留学生にタックルを決めた。「何倍もでかいやつを一発で仕留めた。マイケルは将来大物になると思った」

 高校2年時にニュージーランドの実家が火事で全焼した。佐藤先生を中心に100万円ほどの寄付を集めて送った。「絶対に恩返ししたい」。びっくりドンキーで400グラムのチーズハンバーグを2枚食べた。寝る前にバタートーストを8枚食べた。体を大きくした。ラグビーを通じて、日本への熱い思いを表現してきた。

 試合を終えて、仲間を先導しながら観客一人一人を見るようにゆっくりと歩いた。ゴール裏で深々と頭を下げた。向こう正面で愛娘アメリアちゃんをグラウンドに抱き入れた。プレーに関与すれば「リーチ!」のコールが起きた。「ニッポン」「ニッポン」と降り注いだ大声援に感謝の思いを告げた。

 日本中を巻き込んだ熱い、熱い戦い。「下を向く時間はない。胸を張って。今後の態度を見せることが大事」。日本ラグビー界の戦いには続きがある。ゴールはここじゃない。

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