松島トライ王 台風被害に誓い新た「みんなのために」

 「ラグビーW杯、1次リーグA組、日本28-21スコットランド」(13日、日産スタジアム)

 日本が28-21でスコットランドに競り勝ち、初の8強入りを決めた。WTB松島幸太朗(26)=サントリー=がトライランキングでトップに並ぶ今大会5トライ目を記録し、WTB福岡堅樹(27)=パナソニック=は日本代表ではW杯初となる3試合連続トライ。ジャパンが誇る「Wフェラーリ」が、20日の準々決勝・南アフリカ戦でも躍動する。

 思いを乗せて飛び込んだ。前半6分に先制を許し、0-7で迎えた同17分だった。WTB松島は左サイドでWTB福岡からオフロードパスを託されると、“フェラーリ”のエンジンが火を噴いた。持ち前のスピードで相手陣内を切り裂いた。トライ王ランキングでトップに並ぶ通算5トライ目。“Wフェラーリ”の共演で、反撃の口火を切った。珍しくボールを夜空に高く放り投げたが、「パフォーマンスです」と照れ笑いを浮かべた。

 史上初の準々決勝進出が懸かった大一番。負けられない理由は他にもあった。列島に甚大な被害をもたらした台風19号。「勝たないといけない試合だった。自分たちができる最大のメッセージは勝って日本の皆さんに元気を与えること。状況が全くこれまでの3試合とは違った。『みんなのためにも』という思いだった」と明かした。

 桐蔭学園高2年の時、ジンバブエ人の父・ロドリックさんが急逝した。ショックを受ける姿にラグビー部の藤原監督に学校を休むことを勧められた。松島は「あんまり記憶はないですけど、答えづらいとかではないですが、当時はとりあえず学校休んだという記憶ぐらいしかない。ショックとかじゃないですけど、藤原先生も休めという感じだったので」と否定する。何かの縁か、歴史の扉を開いた一戦は高校時代を過ごした横浜だった。「藤原先生も見に来ると言っていたので、目の前で勝利を届けられた」と語った。

 4年前に大敗したスコットランドを下し「リベンジを果たせた。今まできつい練習をしてきて、絶対に勝てるという自信が芽生えている」と喜びに浸った。偉業にも「実感はない」と平静を崩さない。視線は既に準々決勝の南アフリカ戦を見据えている。「今は勢いに乗っているので最初の40分が鍵になる」。8強のさらに先へ。奇跡は2度起こると、奇跡ではない。

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