桜戦士が大金星…世界2位アイルランド撃破 緊急出場の福岡が逆転トライ
「ラグビーW杯・1次リーグA組、日本19-12アイルランド」(28日、静岡スタジアム)
ジョセフJAPANが奇跡を起こした。A組で世界ランキング9位の日本は同2位の強豪アイルランドに19-12で逆転勝ちし、2連勝で初の決勝トーナメント進出に近づいた。日本は前回大会で優勝2度の南アフリカを破っており、2大会連続で金星を挙げた。途中出場のWTB福岡堅樹(27)=パナソニック=が後半18分に逆転トライ。WTBで出場予定だったウィリアム・トゥポウ(29)=コカ・コーラ=が故障のため欠場し試合当日にベンチ入りが決まった男が、W杯初トライで大仕事をやってのけた。
降り注ぐ「万歳」の祝福を浴びた。男たちが笑って、泣いて、それぞれの歓喜を表現した。4年前に続いて、優勝候補を撃破。世紀の大番狂わせを、またも演じた。
SH田中は言う。「南ア戦は相手が油断していたというのもあった。今回は相手が油断しない中で勝てた。日本のレベルアップを体現できた」。前回は奇跡。今回は必然。4年前を越える、歴史的快挙。その立役者になったのが福岡だ。
「チームがつないでくれたトライ。みんなに感謝したい」
W杯2大会目で奪った初めてのトライは後半18分だった。左サイドに展開されたボールは、CTBラファエレからの絶妙なパスを受けて大外を走る。追いすがる相手DFを振り切って決めた。
「ティム(ラファエレ)がもらった時点でほうってくれるって分かった。ティムも見ずに出してくれた。あうんの呼吸で、自分は走り抜けるだけだった」
試合を決めたのも、福岡だ。相手が攻勢に出た、土壇場の後半38分。自陣深い位置で獲物を奪う猫のように、相手のパスをインターセプト。そのまま快足を飛ばし、相手ゴール前で捕まるまで70メートルを走りきった。
「何とかつなごうと。相手がとりにきたところでノックオンを誘うことができた。流れを変えるプレーができた」
最後のW杯と決めている。大会後は7人制で行われる東京五輪の出場を経て、引退する。開業医の祖父、歯科医の父を持つ。そして福岡高時代に膝を手術した際の医師の影響で将来は医者を志す。
「自分が手術してくれた先生を尊敬したように、この人に従っていれば、絶対に戻れるんだという信頼を与えられる人になりたい。患者さんと触れ合える臨床医でありたい」
そんな将来像へ、一直線に進む道はラグビーが阻んだ。福岡高で花園に出場して先が開けた。一浪後に医師の道をいったん保留して、筑波大でラグビーに専念することを決意。2年時に日本代表エディー・ジョーンズHCに招集された。前回大会は敗れたスコットランド戦のみの出場。悔いを残して、照準を今大会に定めていた。
立つはずのなかった舞台だった。6日の南アフリカ戦で右ふくらはぎを痛めた影響で当初はベンチ外。だがトゥポウが左太もも裏痛で欠場したため、試合当日に緊急出場が決まった。「100%の状態になった方がいいということで、外れたんですけど、準備はしていた」と明かす。
勝利を決定づけたシーン。「トライをとっていたら最高の形だったんですけど」と走りきれなかったことを苦笑い。「それは残り2戦で必要になってくると思う。100%の状態にしてとりたい」。天性のスピードで、まだまだトライを重ねる。



