橋本大輝 史上2人目4連覇達成 快挙も冷静「自分の演技をしっかり」 先輩内村は6連覇「6の景色は違う。違う景色を見たい」
「体操・世界選手権」(22日、ロッテルダム)
男子個人総合決勝が行われ、予選2位で通過した橋本大輝(25)=日本生命・セントラルスポーツ=が6種目合計85・998点で史上2人目の4連覇を成し遂げた。2009~15年に6大会連続で世界一に輝いた内村航平以来で、団体総合との2冠となった。予選1位の岡慎之助(徳洲会)は82・165点で8位。予選の得点は持ち越さずに争われた。
橋本だけは別世界で戦っているようだった。4連覇を決めた最後の鉄棒の完璧な着地にもガッツポーズはなく、得点表示には悔しそうな表情すら浮かべた。混戦の優勝争いで、6連覇の内村以来の快挙にも「自分の演技をしっかりすることだけにフォーカスしていた」と、冷静な言葉には王者の真意がにじんだ。
隙のない6種目だった。最初の床運動は予選、団体総合決勝で出たラインオーバーのミスを修正。鬼門のあん馬は雄大な旋回で魅了して全体1位の得点を稼ぎ、つり輪と跳馬も全体3位と安定感で岡を引き離した。トップに浮上した平行棒で完璧な着地後、演技台から駆け降り、すぐに鉄棒の準備に入った。
偉大な先輩とは実績を積むほど競技観が重なった。大会前には会食し、3時間に及ぶ体操談議の中で「連覇を考えるな」と伝えられた。橋本は「自分の体操で世界一を決めてこいってことだと思った」と解釈した。妥協のない理想の追求。その新境地で絶対的な強さを見せた。
テレビ局のインタビュー役を務めた内村さんが「探究心がとてつもない。僕と同じで勝ってもなお改善点を模索している」と笑った。橋本は1、2、3、4と連覇の数に合わせて指を折った。かつて内村さんも披露したパフォーマンスだ。「6(連覇)の景色は違う。自分も違った景色を見るために練習したい」。『キング』への道をまた一歩進めた25歳に慢心はない。
◇橋本大輝(はしもと・だいき)2001年8月7日、千葉県成田市出身。世界選手権は市船橋高3年時の19年に初出場し、順大時代の22年に個人総合を初制覇した。21年東京五輪の個人総合を史上最年少で制し、種目別鉄棒と2冠。24年パリ五輪は団体総合金メダルに貢献し、個人総合は6位だった。世界選手権は23年と今年の団体総合、23年の鉄棒も頂点に立っている。デイリースポーツ制定「2021年度ホワイトベア・スポーツ賞」受賞。
