空手 ウクライナ選手に東京五輪メダル返還 チャリティーオークション出品 日本人落札で実現 ホルナさん「メダル以上の価値ある。一生忘れない」
全日本空手道連盟は5日、都内の皆思道場にウクライナ出身のホルナ・スタニスラフさん(37)を招き、21年東京五輪銅メダルの返還を行った。道場生から銅メダルを受け取ると、ホルナさんは優しい表情を浮かべ、両手を合わせて深く一礼。「この瞬間がどれだけ貴重で大切なものか想像できないと思う。ずっと五輪王者になることを夢見ていて、このメダルは僕の夢だった。このメダルはメダル以上の価値がある。この機会をくれた皆思道場の皆さんに感謝したいし、僕の人生においてこの経験は一生忘れることはない」と感慨を込めた。
ウクライナ・リビウ出身のホルナさんは、13歳から空手を始めた。空手が五輪種目に採用されていないころから五輪を志し、21年東京大会では男子組手75キロ級で銅メダルを獲得。1つの夢をかなえた。
しかし、翌年からロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始。「僕の中の優先順位が変わってしまった」。獲得した銅メダルを22年に行われたチャリ-ティーオークションに出品。母国への支援に当てた。
その銅メダルを落札したのが、皆思道場の道場生の保護者だった。出品をニュースで知り、「誰かがメダルを落札し、その後ホルナさんに返還するべき」と考えた。2万500ドルで落札し、その後は「戦争が終わり平和が戻った際には日本にお招きし、直接メダルを返還したい」とホルナさんに連絡。ただ世界各地の紛争や、ウクライナ情勢も長期化したことで早期返還を決断し、今のタイミングで本人の手に戻ることになった。
「手を差し伸べてくれたのが日本。このメダルは人と人の助け合いを証明するもので、この機会をもらえてとてもうれしい」と実感を込めたホルナさん。この日は、皆思道場に集まった30人の道場生に特別レッスンを行った。ウォーミングアップから組手の動きなどを細かく指導。約3時間、子どもたちの元気いっぱいの「押忍!」の声と、ホルナさんの笑顔が道場を包んだ。
