ラグビー京産大 一般入試から主将になった伊藤が苦しい時間に見た右腕に書かれていた文字とは 大逆転劇で5大会連続の4強進出

 「ラグビー・全国大学選手権・準々決勝、京産大26-24東海大」(20日、ヤンマースタジアム長居)

 大逆転劇で5大会連続の4強進出を決めた京産大の主将でフランカー伊藤森心(4年=松山聖陵)は、苦しくなると右手首に巻いたテーピングを見て心を奮い立たせた。

 「YD to the 国立」

 「YD」とは、ケガで欠場した副将の吉本大悟(4年=東海大大阪仰星)のことだ。

 12点差があった後半20分すぎ。敵陣で自ら斜めに走り、オフロードパスでFB太田陸斗(2年=京都成章)のトライにつなげる。5点を追い、時計の針は残り3分。土俵際まで追い詰められたチームに再び闘志を芽生えさせたのは、激しいFWの争奪戦でボールを奪い取った主将の姿だった。

 そこから敵陣に入り、ゴール前1メートルの攻防。FW陣が力を振り絞り、最後は欠場した吉本の代役でCTBからSOにコンバートされた奈須貴大(4年=光泉カトリック)が24-24とする同点トライ。その直後にホーンが鳴り、キックが決まって逆転劇は結実した。

 会見で伊藤主将は「吉本大悟を国立に連れて行くのが1つの目標でした。チームがうまく行かない時でも、規律をもたらしてくれたのが彼だった。大悟を国立に連れて行くことができるのが本当に嬉しい」と語り、テーピングに書いた文字を掲げた。

 京産大には珍しく、一般入試から主将になった努力家で「スタンドにいたメンバー。仮想東海大をしてくれた選手に感謝したい。僕だけの力だけでなく、チームメートが支えてくれているから、ここまで来ることができた」。広瀬佳司監督は「今年のチームは(昨年より)ポテンシャルが落ちていたので、ここまで来られるか分からなかった」というチームを主将が引っ張っている。

 14日の慶応大戦に続き、終了間際の大逆転で5大会連続の4強入り。スター選手はいない。泥くさいキャプテンが、このチームの象徴だ。

 勢いに乗った京産大が、まだ見ぬ頂へと突き進んでいる。

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