修正しきれなかったバトンパス 今後に向けてタイムだけではない強さ必要 男子400メートルリレー決勝 朝原宣治氏が分析
「陸上・世界選手権・男子400メートルリレー決勝」(21日、国立競技場)
日本(小池祐貴、柳田大輝、桐生祥秀、鵜沢飛羽)は38秒35の6位で3大会ぶりのメダル獲得はならなかった。米国が37秒29で2連覇。2位はカナダで37秒55、3位はオランダで37秒81。2008年北京五輪男子400メートルリレー銀メダリストの朝原宣治さんがレースを分析した。
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予選よりもタイムを落としているし、みんなのバトンと走りが良くなったかというと全体的に良くなかった。舞台がそろったところで、大事なときに力が発揮できなかったのはすごく残念だ。
予選で小池選手から柳田選手へのバトンパスがかなり詰まったので、決勝に向けて足長を広げたと思う。それでもまだ、柳田選手が飛び出しきれずに詰まってしまった。その辺りの集中なのか。思い切りがなかったのか。きっちり渡さないとメダルが取れないという危機感がなかったのか。それは分からないが、同じように詰まったので、そこは修正しきれなかった。
1走から2走が詰まっているので加速しきれず、柳田選手も全体的にあまり良くなかった。2走はほかの選手がかなり速いし、そこでいかれている。桐生選手もいつもの走りではなかった。鵜沢選手も最後にドイツに抜かれているので、本人も悔しいだろう。
今後に向けてだが、リレーに関して言うとなかなか試す機会がない。本番さながらの緊張感でバトンをつなぐことは、以前のように日本代表でリレーを組んだり、合宿したりという機会が減っているので、そこは難しくなってきている。個人を優先すると、どうしてもリレーで集まるのは難しいので、そのあたりのバランスが大事になる。
今回はサニブラウン選手を欠いた形で、メンバーを組む上でも難しかったと思う。こういう大きな大会の100メートルで、準決勝に進める選手がほしい。そうでなければ、バトンパスを頑張っても、それだけでは厳しい。
持ちタイムは良かったが、実際に世界のスプリンターと戦うところまではいかなかった。個々の力をつけるにしても、タイムだけではない強さが必要かなと思う。タイムはみんな平均的に上がったが、そのタイムをもって実力が発揮できたかというとそうではなかったので、そこは課題。タイムだけ見ると層はだいぶ厚くなってはきたが、本物の意味での強さを含めた層が必要だろう。
今回の世界選手権は、国立競技場が満員になるという陸上界の夢が実現できた。東京五輪からそういう思いがあって、多くのファンに注目してもらい、応援してもらったのはすばらしいこと。選手たちの健闘もたくさん見られたし、日本選手だけではなく、世界のトップ選手のすごさ、陸上の楽しさを知ってもらえたという意味でも、意義のある大会だったと思う。





